2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592051
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
直井 信久 宮崎大学, 医学部, 教授 (50211412)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中馬 秀樹 宮崎大学, 医学部, 准教授 (20244204)
河野 尚子 宮崎大学, 医学部, 助教 (00336306)
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Keywords | 網膜色素変性 / 網膜電図 / 遺伝子 / 電気生理 / 視野 |
Research Abstract |
本年度も従来に引き続いて網膜色素変性症の患者の遺伝子解析を行った。特にX連鎖性網膜色素変性症の患者で、われわれが従来興味を持って検索してきたRPGR遺伝子、exon ORF15領域を中心に遺伝子検索を行った。また、先天性網膜分離症のRS-1遺伝子変異を持つ家系を見いだし、その一症例に内境界膜剥離を伴う硝子体手術を行った。それにより網膜分離の形態は著明に改善し、また視力低下が止まるだけでなく、若干の改善をみた。これは遺伝子で確認された網膜分離症で外科的治療が行われ、改善をみた最初の例である。 また、網膜機能を大きく減弱させる網膜症として未熟児網膜症に着目し、ベヴァシズマブを投与することにより光凝固を行わなくとも、未熟児網膜症を治癒させることができることを報告した。これは未熟児網膜症の新しい治療法になる可能性が高い。 網膜色素変性症では主に視細胞、網膜色素上皮の変性が注目され、網膜内層である網膜神経節細胞や神経線維層はあまり注目されてこなかった。しかし最近の電気生理学的あるいは形態学的研究によって必ずしもそうではなく、網膜内層にも変化が及んでいることが報告されてきている。われわれは昨年に引き続き、電気生理学的な方法のみならず、光干渉断層計(OCT)を使用して網膜内層の層別の形態を解析している。遺伝子情報と合わせて、どのような変異を持つ症例が内層の変性が大きいかを検討してきた。将来人工網膜刺激装置が実用化された時に網膜内層の機能が残っていないと視機能が得られないことが予想されるが、本研究によりその判別ができつつある。
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