2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592057
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
黒坂 大次郎 Iwate Medical University, 医学部, 教授 (20215099)
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Keywords | ビタミンC / ノックアウトマウス / 加齢性眼疾患 / 酸化ストレス / 白内障 |
Research Abstract |
本研究の目的はビタミンCノックアウトマウスの眼科的所見を解明し、加齢性眼疾患とビタミンCとの関連を明らかにし、その治療・予防の可能性を探ることである。 平成21年度は前年度に引き続き、水晶体の解析を行った。ノックアウトマウスにビタミンCを充分に与える群(ビタミンC投与群)と、壊血病を発症しない必要最低限のビタミンCのみの群(ビタミンC欠乏群)の2群の自然観察を継続した。前年度においては50週齢までの観察であったが、本年度の観察によってビタミンC欠乏群では60週齢以降に皮質白内障が生じ、週齢とともにその程度が強くなることが確認された。組織学的解析では、水晶体皮質に相当する部位に著明な配列の乱れが確認された。また負荷実験として前年度の光負荷実験にて水晶体混濁を得ることができなかったので、今年度はUVB負荷実験を行った。16週齢の若年ノックアウトマウスを用いてUVB負荷実験を行った。ミドリンP散瞳下でUVB(波長302nm、2mW/cm^2)を100秒×6回照射し、48時間後の水晶体を解析した。その結果、ビタミンC投与群・欠乏群ともに前嚢下混濁の形成を認めた。その面積に関して画像解析を行ったところ、ビタミンC欠乏群では水晶体前嚢の59.3±10.6%におよぶ混濁を形成し、ビタミンC投与群(32.2±11.7%)と比べ有意に広い混濁であった。また同様の負荷を同週齢の野生型マウスに行うと29.0±9.0%であった。 これらの結果は抗酸化因子であるビタミンCが、代表的な加齢性眼疾患である白内障の形成を抑制することを示唆するものである。今後は水晶体混濁形成過程における蛋白やRNAの解析を行い、酸化ストレスがどのような機序で白内障を形成していくのか明らかにしていく予定である。
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Research Products
(1 results)