2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592057
|
Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
黒坂 大次郎 岩手医科大学, 医学部, 教授 (20215099)
|
Keywords | ビタミンC / ノックアウトマウス / 加齢性眼疾患 / 酸化ストレス / 白内障 |
Research Abstract |
本研究の目的はSMP30ノックアウトマウス(ビタミンCノックアウトマウス)の眼科的所見を解明し、加齢性眼疾患とビタミンCとの関連を明らかにし、その治療・予防の可能性を探ることである。 平成22年度は前年度に引き続きSMP30ノックアウトマウスの自然経過を観察した。ノックアウトマウスにビタミンCを充分に与える群(ビタミンC投与群)と、壊血病症状ときたさない必要最低限のビタミンCのみの群(ビタミンC欠乏群)の2群の約100週齢までの観察を行うことが可能であった。ビタミンC欠乏群では100週齢で強い皮質白内障が生じた。ビタミンC投与群でも軽度の皮質白内障を生じたが眼底が透見可能な程度であった。組織学的解析では、水晶体皮質に相当する部位に著明な配列の乱れが確認された。 16週齢マウスを用いて水晶体中ビタミンC濃度を測定したところ、ビタミンC欠乏群:0.l4±0.01μmol/g、ビタミンC投与群:0.34±0.004μmol/g、野生型:0.36±0.03μmol/gで、ビタミンC欠乏群では水晶体中のビタミンC濃度も低下していることが確認された。またビタミンC投与により回復することも確認された。 これらのことからビタミンC欠乏が代表的な加齢性疾患である白内障と関連すること、ビタミンCの摂取により水晶体中ビタミンC濃度が回復することが示唆され、ビタミンC摂取によって白内障を予防したり、進行を抑制したりできる可能性が考えられた。さらにSMP30ノックアウトマウスは自然経過では白内障を生じるため、白内障の動物モデルとして、治療薬・予防薬の効果判定に有用であると考えられた。
|