2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592064
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
若林 毅俊 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (90302421)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小阪 淳 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 准教授 (40243216)
森 徹自 関西医科大学, 医学部, 講師 (30285043)
木股 敬裕 岡山大学, 医歯薬学総合研究科, 教授 (50392345)
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Keywords | 網膜神経節細胞 / 軸索再生 / 血管つき神経移植 / 正中神経 |
Research Abstract |
平成21年度は、視神経切断端に血管付きで移植する末梢神経として、用いる神経の種類や術式について重点的に検討した。坐骨神経を用いた神経移植では該当肢の重篤な機能障害を残すため臨床への応用は困難である。そこで、それ以外の末梢神経についても検討した。(1)坐骨神経、(2)大腿神経、(3)顔面神経、(4)正中神経の4種の神経について検討した。坐骨神経と大腿神経は、神経片を栄養動・静脈付きで単離し、これを外頚動静脈と微細吻合術を施行した。顔面神経と、正中神経は、神経片の栄養血管を残した上で切断した。それぞれの神経の近位端を視神経切断端へ吻合移植する一方、遠位端は切断し、自由遊離片とした。坐骨神経・大腿神経を利用した場合は、血管吻合に長時間を要するため手術に10時間ほど要し、術者の労力が大きいばかりでなく、手術侵襲が大きく結果が安定しないことが判った。一方で、顔面神経、正中神経を用いた場合は、血管吻合に要する時間が不要となるため手術時間が約4時間となった。一方で、大腿神経、顔面神経は神経の直径が視神経の直径よりはるかに小さく、視神経全体を含むような吻合術が困難であった。また、顔面神経利用時には、特に涙腺の機能が侵されることが多く、角膜表面に障害が起こり、結果が安定しなかった。以上の結果より、視神経切断端への栄養血管付き末梢神経移植には、今のところ、正中神経を用いるのが最良と考えている。その他、視神経との吻合術や球後部の視神経へのアプローチ、正中神経の単離法等の条件検討を行い、ほぼその手法は確立できている。現在、栄養血管なし移植を陰性対照とし、血管付き移植による視神経軸索の再生促進効果を、網膜神経節細胞の逆行性標識やマーカー抗体C38による標識により慎重に評価している。
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