2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病網膜症の発症、進展における全身因子、眼局所因子の関連機序の解明
Project/Area Number |
20592065
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Research Institution | Kansai Medical University |
Principal Investigator |
緒方 奈保子 Kansai Medical University, 医学部, 准教授 (60204062)
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Keywords | 糖尿病網膜症 / VEGF / tight junction / 小胞体ストレス / tight junction |
Research Abstract |
糖尿病網膜症の発症に小胞体ストレスが関与することが示唆されはじめている。糖尿病網膜症では血管の透過性の亢進、黄斑浮腫など細胞のtight junctionが変化して起こってくる病態が多くみられる。そこで、糖尿病黄斑浮腫に関与する網膜色素上皮のtight junctionが小胞体ストレス下でどのように変化するか検討した。 培養ヒト網膜色素上皮細胞(ARPE19)に小胞体ストレスを惹起するTunicamycin(TM:1μg/ml)及びThapsigargin(TG:1μM)をそれぞれ添加し、6、12、24、48時間後にmRNA、蛋白発現を検討した。その結果、TMおよびTG負荷で小胞体ストレス発現の指標であるGRP78/BipおよびCHOP mRNAは6、12、24、48時間後有意な上昇を示し、TM及びTG負荷で小胞体ストレスが生じていることを確認できた。Tight junctionのZO-1はTG負荷においてmRNA及びタンパクレベルで有意な上昇を認めた。Occludinとclaudin-1はTM及びTG負荷でmRNA及びタンパクレベルで有意な上昇を認めた。 免疫染色を用いてtight junctionの変化を検討したところTM及びTG負荷にてZO-1、occludin、claudin-1いずれにおいても蛍光強度の増強を認めた。 さらに透過性に関連する因子として血管内皮増殖因子(VEGF)の発現をreal time PCR法で検討したところTM及びTG負荷にてVEGF mRNAの発現が有意に上昇していた。 これらの結果から、小胞体ストレスによって網膜色素上皮のtight junctionや透過性に変化が生ずることがあきらかになった。
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