2010 Fiscal Year Annual Research Report
診断治療の分子標的同定をめざした増殖硝子体網膜症のマイクロアレイ解析
Project/Area Number |
20592066
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
吉田 茂生 九州大学, 大学病院, 講師 (50363370)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石橋 達郎 九州大学, 医学系研究科, 教授 (30150428)
向野 利寛 福岡大学, 筑紫病院, 教授 (40117106)
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Keywords | ゲノム医科学 / 増殖硝子体網膜症 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
1.増殖組織における包括的な遺伝子発現パターンの同定を試みた。硝子体手術の際に採取した増殖組織から、遺伝子ライブラリを作製後、ランダムにシークエンスを決定し、公のデータベースを用いて発現遺伝子群の機能注釈付けを行った。2,816のシークエンスにより625の冗長性のない遺伝子群が得られた。このうち515遺伝子が機能遺伝子であり、リボゾーム、酸化的リン酸化、細胞間接着などに機能分類できた。 我々は初めて増殖組織から遺伝子ライブラリを作製することに成功した。増殖組織で同定された遺伝子群の一部は、組織の発生や進展に深く関与しており、新たな治療の標的になる可能性があると考えられた。 2.DNAマイクロアレイ(4万遺伝子)を用いて、網膜増殖モデルマウス網膜の包括的遺伝子発現解析を行った。高酸素負荷網膜では、対照正常網膜に比べ発達に関連する遺伝子群の発現低下を認め、高酸素曝露による網膜発達障害を反映していると考えられた。虚血網膜では、高酸素負荷網膜に比べ、代表的な虚血関連因子であるVEGF-AやHif-1αの発現レベルが上昇していた。虚血網膜で発現が変動した遺伝子群は、血管新生、神経形成関連因子、炎症、抗アポトーシス、解糖系の機能単位に分類された。本解析で抽出された遺伝子群は、網膜において、高酸素負荷による発達障害、虚血後の炎症、血管新生およびリモデリングを規定していると考えられた。
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