2010 Fiscal Year Annual Research Report
毛様動脈血管平滑筋に対するプロスタグランディン製剤の効果についての薬理学的研究
Project/Area Number |
20592070
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Research Institution | Akita University |
Principal Investigator |
吉冨 健志 秋田大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (60191623)
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Keywords | 毛様動脈 / 眼循環 / 血管平滑筋 / プロスタグランディン製剤 / 血管弛緩機序 / プロスタグランデン受容体ノックアウトマウス / 抗緑内障治療薬 / FP受容体 |
Research Abstract |
抗緑内障治療薬の血管拡張作用を薬理学的に検討するために、ウサギおよびマウス摘出毛様動脈に対するプロスタグランディン(PG)製剤の効果を検討した。顕微鏡下で摘出眼球より毛様動脈を分離し、Myographシステムに装着し、ウサギにおいては当尺性収縮記録法によって種々の薬物の効果を検討した。また、マウスでは同じ薬物の血管細胞内のCa濃度に及ぼす影響をFluorophotometryを用いて検討した。ウノプロストン、タフルプロスト、トラバプロスト、ラタノプロスト、ビマトプロスト、PGF2αは高カリウム溶液で収縮させたウサギ毛様動脈を濃度依存性に弛緩させた。ビマトプロスト、PGF2αは、それぞれ他のPG製剤と比較して有意に弛緩率が低く、眼圧下降効果とは異なる結果であった。PG受容体であるFP受容体ノックアウトマウスを用いてこれらの薬剤の血管弛緩機序をさらに詳しく検討したところ、FP受容体ノックアウトマウスでもこれらの薬剤による血管弛緩が認められた。FP受容体ノックアウトマウスではPG製剤による眼圧下降効果が消失することが知られており、眼圧下降効果はPG受容体を介するものであると考えられている。しかし今回の実験結果から、同じPG製剤の血管弛緩作用についてはFP受容体を介さない作用機序を持っていると考えられた。すなわち、同じ薬剤でも眼圧下降機序と血管拡張機序は全く異なるものと考えられた。緑内障のrisk factorの最も重要なものは眼圧であるが、正常眼圧緑内障のような症例には眼循環も重要な要素と思われる。抗緑内用薬の眼循環に対する効果の研究はこの意味から臨床上も重要であると考えられた。
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Research Products
(16 results)