2009 Fiscal Year Annual Research Report
先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎における原虫の網膜血管内皮細胞侵入機構の解析
Project/Area Number |
20592071
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野呂瀬 一美 Chiba University, 大学院・医学研究院, 助教 (30156244)
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Keywords | 感染症 / トキソプラズマ / インターフェロンガンマ / 寄生虫 |
Research Abstract |
(1)昨年度は、細胞内寄生原虫トキソプラズマの感受性野生型(WT)C57BL/6マウス、抵抗性WTBALB/cマウス、及びそれらと同じ遺伝背景のインターフェロンガンマノックアウト(GKO)マウスを妊娠させ、妊娠後7日または11日にトキソプラズマFukaya弱毒株のシストを蛍光感染させ、先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎(本症)の動物モデルを確立した。今年度はその動物モデルを使用し、感染後、経時的に胎児或いは仔マウスから脳、眼球を摘出し、RNAを抽出しcDNAを作製し、各種サイトカインやケモカインの発現をreal-time PCR法で解析した。その結果、C57BL/6 WTマウスにおいては、インターフェロンガンマの発現が著名に増加したが、BALB/cマウスでは増加の程度は少なかった。また、CXCL10、CXCL9、CXCR3の発現が著明に増加した。これらのことから、先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の発症には、インターフェロンガンマが重要な働きをし、かつ、インターフェロンガンマに関連するケモカインも関与することが示された。 (2)感染後、各時期の胎児、仔マウスの眼球を摘出し、原虫トキソプラズマを免疫染色法で解析した。その結果、網膜にトキソプラズマが確認され、血管炎も伴い、各種免疫担当細胞の浸潤が見られた。 以上の結果から、本症の発症には、血管炎を伴い、各種免疫担当細胞が関与することが示された。
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