2010 Fiscal Year Annual Research Report
先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎における原虫の網膜血管内皮細胞侵入機構の解析
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20592071
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
野呂瀬 一美 千葉大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156244)
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Keywords | 感染症 / トキソプラズマ / インターフェロンガンマ / 寄生虫 |
Research Abstract |
一昨年度及び昨年度に確立した先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎のモデルマウスから、経時的に胎児或いは仔マウスの脳及び眼球を摘出し、各種サイトカインやケモカインの発現をreal-time PCR法で解析した結果、易感染性のC57BL/6WTマウスにおいてはインターフェロンガンマ(IFN-γ)の発現が著名に増加したが、感染抵抗性のBALB/cマウスでは増加の程度は少なく、CXCL10、CXCL9、CXCR3の発現が著明に増加したことから、先天性トキソプラズマ性網脈絡膜炎の発症には、IFN-γが重要な働きをし、かつ、IFN-γに関連するケモカインも関与することが示された。また、脳と眼球を比較した場合、脳における炎症の方が、眼球における炎症よりも先立って起こり、接着分子であるICAM1やCCl5の発現が増加していた。 さらに感染後、各時期の胎児及び仔マウスの眼球を摘出し、原虫トキソプラズマを免疫染色法で解析した。その結果、網膜にトキソプラズマが確認され、血管周囲に細胞浸潤が認められ、血管炎を伴うことが示された。 また、エバンスブルー染色液を仔マウスの眼窩から静注し、網膜のフラットマウントを作製し、共焦点蛍光顕微鏡で観察したところ、蛍光色素の漏出が見られ、機能的にも血管炎が存在していることが証明された。 これらの結果から、先天性トキソプラズマ性網膜炎の発症において、血管炎が引き起こされ、IFN-γが密接に関与し、かつ、種々のケモカイン、接着分子が大きな役割を担っていることが示唆された。
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