2010 Fiscal Year Annual Research Report
上皮系幹細胞採取法に基づくヒト角膜輪部幹細胞マーカーの同定および分離法の確立
Project/Area Number |
20592072
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
山上 聡 東京女子医科大学, 医学部, 准教授 (10220245)
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Keywords | 結膜上皮細胞 / 角膜輪部上皮細胞 / 幹細胞 / サイトケラチン |
Research Abstract |
我々は、non-tissue culture dish、つまり通常は付着培養を行うためにもちいられない浮遊培養用の培養皿を用いて単一細胞化した角膜輪部上皮細胞を培養すると非常に増殖能のよい細胞だけが付着することを見いだした。また同じ方法で角膜中央部の増殖能の弱い細胞を培養しても全く細胞は培養皿に付着しなかった。そこでこの新しいヒト角膜輪部幹細胞分離法により細胞が濃縮されるメカニズムに着目した。 角膜上皮と結膜上皮は分化した段階では発現する細胞分化マーカーが大きく異なり異なった性質を有している。そこで、幹細胞レベルでの輪部上皮細胞との違いを明らかにすることで細胞特異的マーカーが見つかるのではとの仮説のもと、まず結膜上皮の幹細胞の分離、同定を試みた。方法は、研究用ドナー角膜から結膜上皮を採取し、輪部上皮幹細胞採取と同様の方法で結膜上皮の幹細胞採取を行った。 結果として、ヒト結膜からも角膜輪部上皮の幹・前駆細胞の単離と同様の方法で組織形成能がある結膜上皮幹・前駆細胞の単離が可能であった。この細胞は更に分化させることで間違い無く結膜上皮細胞の分化マーカーであるサイトケラチン4,サイトケラチン13を発現した。我々は、この単離した細胞に対し添加する増殖因子によって2種類の細胞に分化誘導させることができた。本分化誘導法は2000種類の未知成分が含まれるとされる血清を添加しない方法であるため、従来の分化誘導に比べてよりはっきりと細胞の分化を誘導させることができる点で価値があると考えられる。
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