2008 Fiscal Year Annual Research Report
ロドプシントランスジェニックウサギの系統樹立と変性過程の解析
Project/Area Number |
20592075
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
近藤 峰生 Nagoya University, 大学院・医学系研究科, 准教授 (80303642)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
寺崎 浩子 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (40207478)
伊藤 逸毅 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 特任教授 (10313991)
加地 秀 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (30345904)
米今 敬一 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 助教 (40362256)
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Keywords | 網膜色素変性 / 視細胞 / 動物モデル / ウサギ / 網膜電図 |
Research Abstract |
我々はBAC遺伝子改変技術を用いて、世界で初めて網膜色素変性のウサギモデルの作成に成功した。今回の研究の目的は、このロドプシンP347Lトランスジェニック(Tg)ウサギの系統を確立し、その網膜変性過程を明らかにすることであった。我々は合計6ラインのTgウサギファウンダーを得たが、この中でtransgeneの発現量が最も高いライン(ライン7)が動物モデルとして最も適していることがわかった。そこでこのライン7のファウンダーからF1個体を得て、雄のF1と雌の野生型ウサギを交配することによって安定したTgウサギを得ることに成功した。網膜の組織切片と網膜電図の解析により、このTgウサギの網膜は杵体優位の網膜変性を示すことがわかった。Tgウサギの網膜は生後約1年で杵体機能が消失するものの、この時点で錐体機能は約30%残存しており、これは実際のヒトのロドプシンP347L変異の網膜色素変性の網膜変性様式と非常に類似していた。電子顕微鏡による視細胞の観察では、Tgウサギの視細胞間には多数の小嚢(vesicle)が存在しており、この小嚢は内節からちぎれるように産生されていた。この所見は、同じ遺伝子異常を有するTgマウスの電子顕微鏡所見と非常に類似しており、視細胞死のメカニズムとして変異ロドプシンの外節への輸送障害が関与している可能性が示唆された。本年度の研究結果により、我々の作成したTgウサギの網膜変性過程は実際のヒトの網膜色素変性とよく類似していることがわかり、またウサギの眼球径はヒトのそれと類似していることから、網膜色素変性の新しい治療法、特に大がかりな手術操作を必要とする治療実験(人工視覚移植、細胞移植、カプセル移植など)に利用できる理想的な動物モデルであることがわかった。
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Research Products
(18 results)