2008 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン変換酵素阻害薬は正常眼圧緑内障患者を救えるか
Project/Area Number |
20592078
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
廣岡 一行 Kagawa University, 医学部附属病院, 講師 (10325350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白神 史雄 香川大学, 医学部, 教授 (50187530)
馬場 哲也 香川大学, 医学部, 准教授 (20252968)
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Keywords | アンジオテンシン変換酵素阻害薬 / レニン・アンジオテンシン系 / 虚血・再潅流モデル / 神経保護 / アンジオテンシンIIタイプ2受容体拮抗薬 |
Research Abstract |
網膜虚血再潅流モデルに対するアンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬の効果について検討した。ラットの前房内圧を130mmHgに45分間上昇させることにより網膜虚血を行った。腹腔内にACE阻害薬であるカプトプリル(10mg/kg)投与した群と蒸水のみを投与した群に分け、虚血開始30分前に投与した。1週間後に眼球を摘出し、網膜切片を作成することにより網膜組織障害を検討した。更に作用経路を調べるためにカリクレイン・キニン系ではブラジキニン_2受容体拮抗薬であるイカチバント(1mg/kg)単独とカプトプリル+イカチバントを、レニン・アンジオテンシン系ではアンジオテンシンIIタイプ1受容体拮抗薬であるカンデサルタン(1mg/kg)とアンジオテンシンIIタイプ2受容体拮抗薬であるPD123319(5mg/kg)を同様の方法で投与した。網膜厚の減少率において、蒸留水群(56.8%)に対してカプトプリル群(93.3%)で有意に障害が抑制された。イカチバント単独では網膜障害の抑制はみられなかったが、カプトプリル+イカチバント群(93.9%)では網膜障害の抑制がみられた。またPD123319の単独投与では網膜障害の抑制はみられなかったのに対して、カンデサルタン単独投与(78.7%)では網膜障害は抑制された。レニン・アンジオテンシン系を阻害することにより、少なくとも網膜虚血再潅流モデルにおいて神経保護効果を有することが明らかとなった。今回は急性モデルでの検討であったが、更に慢性モデルにおいても同様の効果が得られること、またその作用メカニズムを今後明らかにしていくことにより、臨床応用へと発展させていく予定である。
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