2009 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン変換酵素阻害薬は正常眼圧緑内障患者を救えるか
Project/Area Number |
20592078
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
廣岡 一行 Kagawa University, 医学部附属病院, 講師 (10325350)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白神 史雄 香川大学, 医学部, 教授 (50187530)
馬場 哲也 香川大学, 医学部, 准教授 (20252968)
|
Keywords | 緑内障 / カンデサルタン / 網膜神経保護 / アンジオテンシンIIタイプI受容体(5) |
Research Abstract |
アンジオテンシンIIタイプI受容体(AT1)拮抗薬であるカンデサルタンが網膜・虚血再潅流モデルにおける網膜障害に対して神経保護効果を有することを前年度に報告した。今回慢性高眼圧モデル(緑内障モデル)におけるカンデサルタンの効果について検討した。ラット緑内障モデルは、右眼の上強膜静脈を熱凝固することにより作成した。左眼は無著地とした(コントロール)。治療群(1mg/kg/dayカンデサルタン経口投与)と無治療群にわけ、眼圧は手術前と手術後は週に1回測定した。また血圧も週に1回測定した。9週後にfast blueを上丘内に注入し、その1週後に網膜伸展標本を作製し、標識された網膜神経節細胞(RGC)を計測した。またAT1の局在を調べるため免疫染色を行った。コントロール眼に比べ手術眼では10週間にわたって約2.5倍の眼圧上昇が得られた。治療群の血圧は無治療群に比べ違いはなく、少なくとも正常血圧のラットにおいては今回使用した濃度では血圧に影響を与えない結果であった。無治療群の手術眼の生存RGCは正常眼圧である僚眼に比べ46.5%であったのに対して、治療群では84.2%であった。正常眼の網膜ではAT1は網膜血管にのみ認められたのに対して、眼圧上昇3週後の無治療群及び眼圧上昇10週後の治療群ではRGCこAT1陽性細胞が認められた。これに対して、眼圧上昇10週後の無治療群ではAT1性細胞が減少していた。これらの結果よりカンデサルタンはラット緑内障モデルに対しても、網膜神経細胞死に対して神経保護効果があり、緑内障治療薬になりうる可能性が示唆された。
|
Research Products
(2 results)