2010 Fiscal Year Annual Research Report
アンジオテンシン変換酵素阻害薬は正常眼圧緑内障患者を救えるか
Project/Area Number |
20592078
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
廣岡 一行 香川大学, 医学部附属病院, 講師 (10325350)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白神 史雄 香川大学, 医学部, 教授 (50187530)
馬場 哲也 香川大学, 医学部, 准教授 (20252968)
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Keywords | グルタミン酸濃度 / 血流量 / アンジオテンシンIIタイプI受容体拮抗薬 / 神経保護 |
Research Abstract |
アンジオテンシンIIタイプI受容体(AT1)拮抗薬の一つであるカンデサルタンが網膜・虚血再潅流モデルや慢性高眼圧(緑内障)モデルにおける網膜神経障害に対して神経保護効果を有することを報告してきた。今回は網膜・虚血再潅流モデルにおけるカンデサルタンの神経保護効果の機序について検討した。網膜虚血・再潅流時における硝子体中のグルタミン酸濃度および網膜血流量を経時的に測定した。グルタミン酸濃度はマイクロダイアリーシスを、血流量はドップラーを用いて測定した。 1mg/kgカンデサルタンを虚血開始30分前に腹腔内から投与し、コントロール群は蒸留水を同様の方法で投与した。硝子体中のグルタミン酸濃度は虚血中に若干の上昇がみられたが、再潅流後に更なる上昇を認めた。しかしカンデサルタンを投与することにより再潅流後のグルタミン酸の上昇が抑制された。また再潅流後直ちに血流量は増加し、虚血前の血流量の1.3倍程度まで上昇したが、この血流量の増加もカンデサルタンの投与により抑制された。過度のグルタミン酸には神経毒性があること、また虚血後の再潅流時に増加する血流量(過潅流)は細胞障害と密接な関係があることがすでに分かっている。カンデサルタンを投与することによりこれらの細胞死へと導く因子が抑制されることが明らかとなり、このことにより神経保護効果をもたらすことが明らかとなった。薬剤の作用機序を明らかにすることは、今後臨床の場で使用するにあたり非常に重要なことである。
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