2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592080
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
園田 康平 山口大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10294943)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
畑 快右 福岡歯科大学, 眼科, 教授 (90346776)
石橋 達朗 九州大学, 医学研究院, 教授 (30150428)
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Keywords | 自然免疫 / 脈絡膜血管新生 / 網膜瘢痕 / 遺伝子治療 |
Research Abstract |
そもそも正常眼はある程度の眼炎症を抑える自浄能力を備える。ゆえに眼は免疫炎症反応が起きにくい「免疫学的に特別な臓器(immune privileged site)」といわれてきた。眼が本来持つ自浄機構を回復させることで、副作用のない新たな免疫療法を実現できる可能性がある。自然免疫細胞群が眼の恒常性維持に不可欠な存在であることが認知されつつある。眼内に浸潤した自然免疫細胞群を適切にコントロールすることで、一度過剰炎症・組織破壊に傾いた流れを、もとの炎症抑制型に戻すことができる可能性がある。 研究の流れとして下記のことを計画・実行した (1)マウスを用いた網膜下瘢痕化モデルにおいて、マクロファージ(および他の局所自然免疫細胞群)とRPEが病態に関与するメカニズムを明確にする。 (2)瘢痕化に関与する起炎症因子のスクリーニングを行い、主な炎症因子・経路を明らかにする。 (3)黄斑部瘢痕化の具体的な抑制法を提案する。 一連の研究で、RPEがマクロファージと共同で様々な炎症性サイトカイン・ケモカインの産生を網膜下で行うことが判った。主なものはIL-6とMCP-1であった。液性因子が長期作用することで。RPEは自らの形態変化を来し、網膜下線維瘢痕病巣を形成することが明らかとなった。IL-6の作用を抗体投与や遺伝子ノックダウンのよって局所で抑制すると、網膜下線維瘢痕病巣形成が抑制された。脈絡膜新生血管病に伴う網膜瘢痕に対して、診断後早期に網膜下線維瘢痕抑制を意識した治療を開始することが、黄斑部機能の長期維持につながることが明らかになった。
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