2008 Fiscal Year Annual Research Report
新素材を足場骨格に応用した小児の気管・気管支再生に関する研究
Project/Area Number |
20592087
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
臼井 規朗 Osaka University, 医学系研究科, 講師 (30273626)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
渡邉 順司 大阪大学, 工学系研究科, 准教授 (60323531)
澤井 利夫 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (90351808)
谷 岳人 大阪大学, 医学部附属病院, 医員 (60467561)
|
Keywords | 再生医療 / 気管軟骨 / 生体吸収性足場 / 細胞接着 / 高分子ポリマー / 細胞シート工学 / 回転培養 |
Research Abstract |
気管軟骨再生に用いる生体吸収性の新しい足場として、トリメチレンカーボネイトで疎水性を示すコレステロール(Chol)と親水性を示すpoly(ethylene glycol)monomethyl ether(mPEG)を用いて高分子ポリマー、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)を作成した。PTMCの開環重合数の確認を行ったところ、Cholは数平均分子量(Mn)38561,重量平均分子量(Mw)131960、mPEGはMn36034,Mw114292であり、1H NMR spectraではTMCが約1600個からなる高分子ポリマーの形成が確認された。水の接触角はChol-PTMCでは浸水前は85度、浸水7日後に78度となった。mPEG-PTMCはそれぞれ61度、53度であり、水中の特性ではChol-PTMCの方が細胞接着にとって有利な疎水性を示すことが明らかとなった。多数のporeを有するPTMCを作成したが、Chol-PTMCはpore sizeが水溶液中で徐々に収縮してporeが消失することが明らかとなり、Cholが水溶液内で凝集してしまうためと考えられた。mPEG-PTMCでは水溶液中でもpore sizeが縮小することなく形態を維持できたが、親水性が強く細胞接着では不利なことが予測された。今後それぞれの利点を生かすため、Chol-PTMCとmPEG-PTMCを混合した足場で同様の特性調べる予定である。一方、実際に生体の気管を置換した場合を想定し、足場の溶解が進んで強度が低下し始めた時期において、すでに十分の強度を有する円筒状気管軟骨の再生が完了することを目的に、上記生体吸収性足場に分離細胞を個々に播種するのではなく、細胞シート工学的手法を用いて予め軟骨細胞シートを作成しておき、足場素材に接着させて軟骨再生を図る方法の開発にも着手した。家兎の耳介軟骨より分離した軟骨細胞を多層に播種して軟骨細胞膜シートを作製し、シリコンチューブに巻いて6週間回転培養を継続した。6週間後に、軟骨基質の測定、組織学的観察、強度の測定を行い、軟骨細胞シートからの円筒状再生気管軟骨が得られる見込みを得た。
|