2010 Fiscal Year Annual Research Report
虚血後脱毛における細胞種特異的小胞体ストレス応答の関与-毛包細胞の対虚血脆弱性-
Project/Area Number |
20592095
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 啓道 東北大学, 大学院・医学系研究科, 講師 (80323012)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武田 睦 東北大学, 病院, 助教 (30333800)
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Keywords | 小胞体ストレス / 脱毛 / GRP78 / 虚血ストレス |
Research Abstract |
本研究の目的は皮弁手術などの後に生じる一過性虚血後の脱毛について,そのメカニズムを解明することである. これまでの研究で脂肪層まで入り込む伸長する活動期毛包と、真皮層に留まる伸長が停止した休止期毛包では虚血ストレスに対する耐性が異なり、ある一定の虚血ストレスで活動期毛包だけが選択的に脱毛することが明らかとなった。形態的に同一の毛包細胞でありながら,休止期毛包細胞と活動期毛包細胞で耐性に違いが生じるメカニズムを明らかにするため、小胞体ストレスに着目した。細胞に発現すると考えられている小胞体ストレスセンサーには3つの分子(IRE1,ATF6,PERK)が知られているが、その他に組織分布が特徴的な小胞体ストレスセンサー(グリア細胞のOASISなど)も発見されている。活動期毛包と休止期毛包は同一のケラチノサイトであるにもかかわらず、休止期毛包は虚血に対する耐性がより高くなっている。これは休止期毛包では細胞腫特異的小胞体ストレス応答が生じている可能性を示唆するもので、今年度の研究では小胞体ストレスがかかると発現する小胞体シャペロンGRP78は休止期毛包では常に発現しているのに対し、活動期毛包では一時的に上昇し、その後減少していることがわかった。 また、活動期毛包はGRP78を強く発現しているにもかかわらず毛包細胞がapoptosisし、脱毛をきたしている。これは本来防御機構として働くはずのGRP78が何らかの原因でシャペロンとして機能できなかった可能性やGRP78が過剰に発現したことが逆にapoptosis誘導に関与している可能性を示している。つまり、虚血ストレス後の脱毛は,GRP78を一過性に過剰に発現した活動期毛包細胞に選択的に誘導されたapoptosisによるものであり、休止期毛包細胞では防御機構として小胞体シャペロンであるGRP78が持続的に発現し,虚血ストレスに対する耐性を示している可能性が高いと言える。
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