2008 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋・顎・顔面領域におけるヒト耳介軟骨前駆細胞を用いた軟骨再生法の開発
Project/Area Number |
20592101
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 眞司 Yokohama City University, 医学研究科, 客員研究員 (90464536)
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Keywords | 軟骨膜細胞 / 間葉系前駆細胞 / 耳介軟骨 |
Research Abstract |
我々はヒト耳介より「ヒト弾性軟骨間葉系前駆細胞」である軟骨膜細胞を分離、培養することに成功している。本細胞を用いた軟骨再生医療のためには、この軟骨膜細胞の特性解析の推進および3次元形態を有する再生軟骨の再構築が必要である。本年度では、軟骨膜細胞の特性解析のために、(1)細胞増殖能、(2)多分化能、(3)自己再生能のうち(1),(2)について軟骨細胞と比較し分析した。(1)細胞増殖能:コロニーアッセイと長期細胞増殖能を比較検討した。コロニーアッセイでは、軟骨膜細胞は23.9±4.5個、軟骨細胞2.3±0.4個のコロニーを形成し、軟骨膜細胞は高いコロニー形成能を有していた。長期増殖能において軟骨膜細胞は、軟骨細胞に比べ約1000倍高い増殖能を維持し続けた。(2)多分化能:軟骨、脂肪、骨分化誘導を行った。まず、軟骨分化誘導培地にて培養すると、両者ともに組織学的にプロテオグリカン、II型コラーゲンに染色された。 ELISAによるプロテオグリカン、エラスチン、コラーゲンの定量解析では、軟骨膜細胞は17.5±4.3、235.6±19.9、61.8±7.5μg/mlであり、軟骨細胞は19.0±1.3、234.0±16.3、55.8±4.9μg/mlであり同様であった。一方、脂肪分化では、軟骨膜細胞は脂肪滴を形成しOilred0にて染色されたが、軟骨細胞は脂肪滴を形成しなかった。同様に、骨分化では軟骨膜細胞は多数のCaの沈着を認めアリザリンレッドにて染色されたが、軟骨細胞は染色されなかった。 これらのことより、軟骨膜細胞は「軟骨間葉系前駆細胞」であることが示唆され、今後の軟骨再生にとって重要な意義があると思われた。
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Research Products
(2 results)