2010 Fiscal Year Annual Research Report
頭蓋・顎・顔面領域におけるヒト耳介軟骨前駆細胞を用いた軟骨再生法の開発
Project/Area Number |
20592101
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Research Institution | Yokohama City University |
Principal Investigator |
小林 眞司 横浜市立大学, 医学研究科, 客員研究員 (90464536)
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Keywords | 軟骨膜細胞 / 軟骨前駆細胞 / 軟骨再生 / 軟骨膜 / ヒト耳介弾性軟骨 |
Research Abstract |
我々はヒト耳介より分離された"ヒト弾性軟骨間葉系前駆細胞"の特性解析の推進および3次元形態を有する軟骨の再構築を目的としている。最終年度は、生体内における足場材料を用いた"ヒト耳介弾性軟骨間葉系前駆細胞"由来再生軟骨の作成および評価を行った。具体的には、分離し培養した軟骨膜細胞および軟骨細胞を生体外で培養し増殖させた後、足場材料のコラーゲンスポンジに播種し、NOD/SCIDマウスの背部皮下に移植を行った。足場材料には、軟骨基質として知られるコンドロイチン硫酸と力学的強度を上げるためにハイドロキシアパタイト粒子を複合化した新規スキャフォールド(pCol-HAp/ChS)を用いた。電子顕微鏡観察では、その内腔は連通性に富んでおり、力学的特性では弾性軟骨と同様に高い圧縮弾性率を認めた。移植10ヶ月後に形成された軟骨様組織を摘出し組織学的解析を行った結果、Alcian Blue、弾性線維およびII型コラーゲンで染色され、軟骨周囲をI型コラーゲン陽性の膜様組織が被覆していることが確認された。一方、腫瘍形成、線維性組織形成、血管侵入や石灰化沈着は全く観察されなかった。より大型の弾性軟骨組織の再構築を目指し、直径15mm高さ5mmの円柱状pCol-HAp/ChSを用いて移植実験を行ったところ、1ヶ月後には12mmX12mmX5mmの弾力を有するヒト軟骨様組織が再構築された。組織学的解析により、スキャフォールド全域に成熟軟骨細胞が存在し、プロテオグリカン、弾性繊維の産生が認められたことから、軟骨膜細胞はpCol-HAp/ChSと共に移植することでヒト弾性軟骨組織を再構築することが判明した。 これらの結果から、軟骨膜細胞は足場材料を用いることにより生体組織と同様な組織構造を持つ、より大型の弾性軟骨組織を長期的に再構築することが判明した。
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Research Products
(2 results)