2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592106
|
Research Institution | Kyorin University |
Principal Investigator |
大浦 紀彦 Kyorin University, 医学部, 講師 (40322424)
|
Keywords | 微小循環 / 褥瘡 / 創傷治癒 |
Research Abstract |
ヒト皮膚微小循環観察用生体顕微鏡を用いた皮下微小循環の圧迫および観察 近年接触型対物レンズを用いたCCDビデオスコープと圧センサーを組み合わせた微小循環観察用生体顕微鏡を使用して、圧迫を負荷によって、ヒト皮下微小循環が停止する圧を計測できる装置の開発を行った(H20年度申請したロードセル付きCCDカメラを使用した)。 CCDビデオスコープは、Keyence社のCCDVH-5910を用いた。皮膚と接触する先端は、直径4mmで、スコープの上端に圧センサーとリニアアクチュエータを組み込み、圧センサーによってスコープ先端の圧計測が可能である。この装置により比較的簡単に、非侵襲の生体下の皮下微小循環の観察と圧力計測が同時にできるようになった。これを用いて、ヒトのあらゆる部位の皮下微小循環を観察した。 一般に言われているように、nail-fold部では、綺麗なループ状の毛細血管の観察が可能であるが、その他の部位、たとえば前腕では、ループというよりは横方向へ毛細血管が広がっていた。Nail-foldは、骨と爪甲の硬組織近傍の薄い軟部組織における加圧であるため、圧力が横方向へ逃げることが少なく、比較的正確な圧計測が可能である。しかしNail-foldは、爪甲の近傍にあり、皮膚の形態としては、特殊であるので、褥瘡の研究の対象としては、不向きである。前腕や上腕は、褥瘡の研究モデルとしては、最適であるが、微小循環の観察と圧計測が難しい。再現性に乏しく、血流が停止しない場合も多かった(加圧が十分でなく横方向へ逃げてしまう)。現在、褥瘡研究に使用できると考える新しい部位は、頭部である。逃避は、比較的明確に微小循環が観察出来る上に、頭皮の下には頭蓋骨があり、圧を逃がすことなく加圧が可能である。しかし、指や前腕用に開発した装置では、頭皮の圧計測が不可能で新しい装置および改良が必要と考えられた。 さらに、褥瘡と糖尿病、重症虚血肢、ASOなどとの微小循環の観点からの関係性を検討するために、Nail-foldにおける糖尿病や重症虚血肢の皮下微小循環の観察を行った。皮下のループ状の毛細血管において、それぞれ正常等の違いが観察された。しかしそれぞれについて特徴づけられるというより、個体差や再現性による違いの可能性も示唆され、より多くのデータの蓄積が必要と思われた。
|