2008 Fiscal Year Annual Research Report
中枢神経再生療法の新戦略としての体性幹細胞の可塑性
Project/Area Number |
20592109
|
Research Institution | St.Marianna University School of Medicine |
Principal Investigator |
井上 肇 St.Marianna University School of Medicine, 医学部, 准教授 (60193603)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
武永 美津子 聖マリアンナ医科大学, 難病治療研究センター, 講師 (10236490)
冨岡 みゆき 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 研究技術員 (90398967)
|
Keywords | 再生医学 / 移植・再生医療 / 細胞・組織 / 脳・神経 / 発生・分化 |
Research Abstract |
本研究は、既に有効性が示され特許申請中の上皮幹細胞利用による脊髄神経再生技術を確立し、特に移植後の長期経過観察を行う事でその運動機能改善作用の継続性、表皮幹細胞適用の安全性(すなわち副作用の危険性)について証明する事である。並行して、交通外傷等を原因とし脊髄損傷を来した愛玩動物に対し(主にイヌ)、獣医師の協力の下に、表皮幹細胞移植治療を試み基礎データを積み上げ、最終ステップとなるヒト臨床応用へとつなげることが目標である。臨床試験部会第1295号の承認研究方法に基づき、ICと文書における同意を得た患者より、手術時に余剰となった正常皮膚を幹細胞培養に用いた。培養開始7日以内に認められるクローン増殖した表皮幹細胞のみを継代培養した。動物実験倫理委員会承認第000013号の承認研究方法に基づきSD系雌性ラット(250g程度)の脊椎T9-10を開放し、脊髄を露出した後10gの分銅を2.5cmの高さから落錐させ脊髄損傷を誘発した。脊髄損傷誘発後の急性期炎症が消退した8日目に細胞移植をおこなった。対照群としては、細胞を懸濁した溶媒、あるいは同一患者から用手法によって培養した線維芽細胞を用いた。その結果、上皮幹細胞移植群において有意な運動機能の改善が認められた。この運動機能改善は、線維芽細胞には認められなかった。6週間経過後に屠殺し、上皮幹細胞移植部位を含めた損傷脊髄を採取し、免疫染色を行った。その結果、損傷部位に移植した上皮幹細胞は一部生着していることが、ヒト特異核抗体によって証明されたとともに、これら細胞の一部が神経分化マーカの一つであるNestinを発現していた。これらのことから、上皮幹細胞は移植後に一部が脊髄神経再生に関与していることが明らかになった。
|
Research Products
(1 results)