2008 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン吸着カラムを用いた血液浄化療法の可能性への追及
Project/Area Number |
20592118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 巧 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (30301196)
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Keywords | 血液浄化 / サイトカイン / ショック / 敗血症 / 急性呼吸不全 |
Research Abstract |
研究代表者らが炎症性サイトカイン等のmediatorを吸着、除去できるカラム(サイトカイン吸着カラム)を開発し、現在臨床応用に向けて基礎実験を行っている。今年度の目標を、より臨床に近い状況下のモデルに対しての効果判定と別の疾患への応用として研究を行った。 1) エンドトキシンショックモデルにおけるサイトカイン吸着カラムと他のカラム(エンドトキシン吸着カラム)との有用性の比較 エンドトキシンを静脈内投与して作成したエンドトキシンショックモデルに対して、現在、臨床で使用されているエンドトキシン吸着カラムとの有用性を比較検討した。その結果、サイトカイン吸着カラムはエンドトキシン吸着カラムと同様の生存率の改善を認め、血圧低下およびアシドーシスの改善も同程度であることが判明した。また、炎症性サイトカインに関しては、サイトカイン吸着カラムのほうがより上昇を抑制する傾向があることが示された。 以上より、臨床の場においてもエンドトキシンショックに対してサイトカイン吸着療法が有用である可能性が示唆された。 2) 急性呼吸不全モデルに対するサイトカイン吸着カラムの有用性 エンドトキシンを気管内投与して作成した急性呼吸不全モデルに対してサイトカイン吸着療法の有用性を検討した。その結果、エンドトキシン気管内投与後急速に酸素化が低下し回復しないのに対し、サイトカイン吸着療法を施行すると徐々に回復することが判明した。さらに、高炭酸ガス血症や血圧低下、さらにアシドーシスに対して改善することが判明した。 以上より、急性呼吸不全に対してもサイトカイン吸着療法が有用である可能性が示唆された。
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