2009 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン吸着カラムを用いた血液浄化療法の可能性への追及
Project/Area Number |
20592118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 巧 Kanazawa University, 医学系, 准教授 (30301196)
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Keywords | 血液浄化 / サイトカイン / ショック / 多臓器不全 / アシドーシス |
Research Abstract |
研究代表者らが炎症性サイトカイン等のmediatorを吸着、除去できるカラム(サイトカイン吸着カラム)を開発し、現在臨床応用に向けて基礎実験を行っている。今年度は、エンドトキシン血症モデルに対する有用性だけではなく、出血性ショックモデルに対するサイトカイン吸着カラムの有用性について検討した。 実験方法として、雄のSDラットに全身麻酔を施行した後に、大腿動脈から脱血することにより出血性ショックモデルを作成した。出血性ショックを15分間放置した後に、返血、輸液することによりショックから離脱させた。離脱した後に対照群と治療群に無作為に分け、対照群ではそのまま経過観察とし、治療群では、サイトカイン吸着療法を90分間施行した。評価項目は、循環、呼吸状態、サイトカイン濃度等とし、両群間で比較検討した。その結果、対照群では、炎症性サイトカインの上昇、アシドーシスの増悪、低血圧が生じたのに対し、治療群では、炎症性サイトカインの上昇が抑制でき、血圧も安定し、アシドーシスの改善も可能であることが判明した。この基礎実験は、出血性ショックに対し、多臓器不全に陥る場合、サイトカイン吸着を行うことにより、多臓器不全を防ぐことが出来る可能性が示唆されるものである。 来年度は、様々な原因により生じた心肺停止状態から蘇生させた場合に生じる多臓器不全(蘇生後多臓器不全)に対し、サイトカイン吸着療法がどこまで有用であるかを解明したい。
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