2010 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカイン吸着カラムを用いた血液浄化療法の可能性への追及
Project/Area Number |
20592118
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Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
谷口 巧 金沢大学, 医学系, 准教授 (30301196)
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Keywords | 血液浄化 / サイトカイン / ショック / 多臓器不全 / アシドーシス |
Research Abstract |
研究代表者らが炎症性サイトカイン等のmediatorを吸着、除去できるカラム(サイトカイン吸着カラム)を開発し、現在臨床応用に向けて基礎実験を行っている。本年度は、エンドトキシンショックにより生じた多臓器不全に対するサイトカイン吸着カラムの有用性について検討した。 実験方法として、雄のSDラットに全身麻酔を施行した後にエンドトキシンを静脈内投与し、2時間経過後血圧低下を認めた時点で、対照群と治療群に無作為に分け、対照群ではそのまま経過観察とし、治療群では、サイトカイン吸着療法を90分間施行した。評価項目は、生存率、循環、呼吸状態、凝固系、アシドーシス、サイトカイン濃度等とし、両群間で比較検討した。 その結果、対照群では、炎症性サイトカインの上昇、アシドーシスの増悪、凝固機能の低下を認めたのに対し、治療群では、炎症性サイトカインの上昇の抑制、アシドーシスの改善、K凝固機能の改善を認めた。生存率に関しては、エンドトキシン投与8時間の時点で、治療群が65%であったのに対し、対照群で14%であり、治療群で有意に高値を示すことを明らかにした。 これは、早期にサイトカイン吸着を行うことにより、エンドトキシンショックによって生じる多臓器不全を未然に防ぐことが出来る可能性を示唆したものである。 今後、これまで検討してきた際に発見したサイトカイン吸着療法の合併症に対して、更なる検討を重ね、臨床応用につなげていきたい。
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Research Products
(2 results)