2008 Fiscal Year Annual Research Report
過大侵襲時における免疫修飾作用としての超短時間作用型β1遮断薬の心筋に対する効果
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20592119
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Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
辻田 靖之 Shiga University of Medical Science, 医学部, 助教 (60343224)
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Keywords | β遮断薬 / 炎症性サイトカイン / 全身性炎症反応症候群 / 心機能 / 心筋保護 / 心房細動 |
Research Abstract |
過大侵襲時における免疫修飾作用としての超短時間作用型β1遮断薬の心筋に対する効果を調べるため、全身性炎症反応症候群(SIRS)の診断基準を満たす患者の頻脈性心房粗動、細動(AF)に対して塩酸ランジオロール(LAN)を投与した症例ついて心拍数・血圧(n=19)、心係数等の血行動態(n=9)を測定した。またLAN(n=16)、ジゴキシン(DIG)(n=29)、コハク酸シベンゾリン(CIB)(n=19)、塩酸ベラパミル(VER)(n=22)単独使用時の血行動態変化を比較した。LAN投与前後の心拍数143±21→91±17bpm(P<0.0001)、収縮期血圧124±18→115±27mmHg(P=0.058)、拡張期血圧70±12→64±14mmHg(P=0.0071)、心係数2.69±0.64→2.23±0.58L/min/m^2(P=0.031)、1回拍出係数19.8±4.3→25.9±9.1ml/beat/m^2(P=0.082)であった。薬剤別解析では、心拍数変化量がLAN-53±20、DIG-24±24*、CIB-31±21*、VER-29±19bpm*(*P<0.05対LAN)であり、LANは他の抗不整脈薬と比較して有意に心拍数を減少させていたが、収縮期および拡張期血圧変化量は薬剤間で有意差を認めなかった。発作性AFで洞調律に戻ったのはLAN 54%、DIG 28%、CIB 63%、VER 19%であった。SIRSの時の頻脈性AFに対してLANは血圧をあまり下げることなく確実に心拍数を下げることができ、発作性AFに対しては除細動も期待できた。心係数は少し低下するが心拍数減少のためと考えられ1回拍出係数はむしろ増加した。本年度は炎症性サイトカイン濃度については測定した症例が少なく解析できなかったので、次年度以降解析する。また敗血症ラットモデルを使った研究も次年度以降進めていく。
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Research Products
(5 results)