2010 Fiscal Year Annual Research Report
Bacterial Translocationに対する新治療戦略の開発
Project/Area Number |
20592120
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
片山 浩 岡山大学, 病院, 准教授 (90161067)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森田 潔 岡山大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (40108171)
清水 裕子 岡山大学, 医学部, 客員研究員 (80423284)
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Keywords | 出血性ショック / 消化管障害 / ヘムオキシゲナーゼ-1 / 炎症 / アポトーシス / 自然免疫 / グルタミン / ストレス蛋白 |
Research Abstract |
出血性ショック(hemrrhagic shock : HS)に伴う酸化ストレスにより消化管は傷害を受けやすく、重症化すれば多臓器不全へと進行する。ヘムオキシゲナーゼー1(heme oxygenase-1 : HO-1)はヘム分解の律速酵素であり、酸化ストレスが関与する病態において細胞に誘導され、細胞保護的に働くと考えられている。申請者らは、ラット出血性ショックモデルの腸管傷害において、HO-1発現に部位特異性があること、内因性のHO-1は細胞保護的に働くことを報告した。本研究では、腸管傷害に対してその有用性が認められているグルタミン(GLN)を用いて、HO-1が誘導されなかった回腸のHS後組織傷害に対する効果を検討した。維性SDラットにGln(0.75g/kg)を静注し回腸のHO-1蛋白発現を免疫染色にて検討した。また、脱血・返血によりHSモデルを作成し、Gln投与(Gln/HS)群、溶解液を投与したVehicle/HS群、Glnに加えてHO-1の拮抗阻害薬:tinmesoporphyrin (SnMP)を投与したGln/SnMP/HS群の3群に分けた。蘇生開始時より回腸を採取し、TNF-alpha,iNOS,ICAM-1,VCAM-1,Bc1-2,IL-10mRNA発現、MP0活性と好中球染色で好中球浸潤をISOL染色、activated caspase-3染色でアポトーシス細胞を検索した。その結果、Glnは回腸にHO-1蛋白を誘導した。また、HSモデルではVehicle/HS群において増加したTNF-alpha、iNOS、ICAN-1、VCAN-1 mRNA、MPO活性、組織内好中球数、アポトーシス細胞数がGln/HS群では減少し、IL-10、Bcl-2 mRNAが上昇した。しかし、これらの効果はGln/SnMP/HS群では消滅した。以上より、GlnはHO-1の誘導を介して、抗炎症、抗アポトーシス作用を発揮し、出血性ショックによる組織傷害を改善すると考えられた。
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Research Products
(1 results)