2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592124
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
長尾 正崇 Hiroshima University, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80227991)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉栖 正生 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (20282626)
牧田 亨介 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20321812)
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Keywords | 急性中毒学 / 救急医学 / 神経剤 |
Research Abstract |
平成21年度においては、関連研究として、ヒト中枢神経系由来培養細胞、神経芽腫由来細胞株SK-N-SHおよびアストロサイト由来細胞株CCF-STTG1を用いサリン類似神経剤の影響を解析した。低密度培養環境下で培地にBIMPを添加、24時間培養しその影響を観察した。BIMP添加により不定形状を示す細胞の増加が見られたことから、細胞骨格分子に着目し、ファロイジンによるアクチン染色、抗アセチル化チューブリン抗体による免疫染色で細胞骨格を可視化・観察した。その結果、300μM BIMP存在下で細胞内部ストレスファイバー、辺縁部葉状仮足でのアクチンの脱重合化が観察された。更に安定化微小管の局在を示すアセチル化チューブリンに対する染色性の低下も観察された。この培養条件下でタンパク質の抽出を行い、ウェスタンブロッティングにて、アセチル化チューブリン量 : 総チューブリン量の比から各条件下での細胞骨格の安定性を算出した。その結果、BIMPは、細胞の形態に影響を与える濃度(300μM)のみならずより低い、細胞の生育に影響を及ぼさない濃度(75μM以下)においても顕著にチューブリンを脱アセチル化し、細胞骨格を不安定化させるという結果が得られた。この現象は対照として用いた有機リン剤(DFP:Diisopropyl Fluorophosphate)では見られなかったことから、サリンおよび類似神経剤特異的な反応であると考えられる。現在、細胞骨格制御に関わる細胞内情報伝達系因子の解析を行うと同時に、神経剤暴露時の中毒症状との関連について検討を行っている。 また、平成21年度はBIMPのin vivoにおける循環器系に及ぼす毒性作用をラット血管平滑筋細胞(RASMC)を用いて検討するためにiNOSの発現の測定系を確立した。
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