2009 Fiscal Year Annual Research Report
好中球の転写因子C/EBPβに着目した敗血症性急性肺損傷の病態解析
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20592125
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Research Institution | Kyoto Prefectural University of Medicine |
Principal Investigator |
志馬 伸朗 Kyoto Prefectural University of Medicine, 医学研究科, 講師 (00260795)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平位 秀世 京都大学, 医学研究科, 助教 (50315933)
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Keywords | 好中球 / 急性肺損傷 / 敗血症 / 転写因子 / C / EBPβ |
Research Abstract |
敗血症及び敗血症性急性肺損傷の発生メカニズムにおける好中球の役割を、C/EBPファミリー転写因子群に含まれるC/EBPβに着目して解明する検討を継続した。C/EBPは、特に好中球系の前駆細胞の分化、成熟・増殖において、とりわけ急性ストレスの加わる重症病態時に重要な役割を果たす。 平成21年度は、顆粒球造血過程をとらえるためのフローサイト新染色法を用いた敗血症病態の検討を行った。フローサイトメトリーを用いて好中球の造血過程を造血幹細胞から成熟好中球にいたる5つの分化段階に分けて検討した。特にカンジダ血症モデルを用いた検討では、感染2日目をピークに末梢血中の顆粒球が増え、骨髄中では感染1日目から細胞集団の分布に変化が観察された。特に骨髄芽球以降の細胞集団が一過性に増幅されていることを観察できた。以上の結果は第83回日本感染症学会総会において報告した。 次に、この感染時の好中球造血亢進時に、C/EBPβがどの分化段階で関与しているかをC/EBPαと対比しながら、詳細に検討した。未分化な細胞集団の細胞分裂亢進にはC/EBPαの発現が低下し、これによる細胞周期抑制効果低下の関与がある可能性、C/EBPαの発現低下時の好中球機能維持にはC/EBPβが寄与している可能性など、感染・好中球造血亢進状態におけるC/EBPβの役割の一端が解明できた。以上の結果は第84回日本感染症学会総会にて報告予定である。 以上の結果を踏まえ、C/EBPβ遺伝子ノックアウトマウスおよび野生型マウス敗血症モデルにより、骨髄中好中球造血過程、好中球游走能や貪食能、敗血症性急性肺損傷の組織像などを観察し、両群を比較することによりC/EBPβの関与についての検討を進めている。
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Research Products
(5 results)