2010 Fiscal Year Annual Research Report
アナフィラキシーショックにおける心機能の統合的研究
Project/Area Number |
20592131
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Research Institution | Kanazawa Medical University |
Principal Investigator |
芝本 利重 金沢医科大学, 医学部, 教授 (90178921)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉田 康孝 金沢医科大学, 医学部, 准教授 (00267725)
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Keywords | 心アナフィラキシー / 血液交叉灌流心臓 / 心収縮性 / 冠動脈血流 / βアドレナリン受容体阻害剤 / 冠血管収縮 / dP/dt max / アナフィラキシーショック |
Research Abstract |
研究目的は昨年度に確立した摘出灌流心臓での心アナフィラキシー反応における心収縮性の一過性の低下が、アナフィラキシー冠血管収縮による冠血流量が減少することによるのか、あるいは心アナフィラキシー時に放出される化学伝達物質による直接的な心筋細胞への影響によるものかを解明すること、さらにβ-アドレナリン受容体(AR)阻害剤の影響を解明することであった。はじめに、機械的に冠動脈流入チューブを閉塞して、心アナフィラキシー時と同じように冠血流量を減少させた検討では、冠動脈血流低下群はコントロールのアナフィラキシー群と比較して、心収縮性の指標であるdP/dtmaxの低下反応に有意差は認められなかった。以上より、ラット摘出灌流心臓における心アナフィラキシーによる一過性の心収縮性の低下は冠動脈収縮による冠血流量の低下によることを示唆する結果が得られた。 次の課題のβ1-AR阻害;Atenololとβ2-AR阻害;ICI118,551の心機能への影響では、β1-あるいはβ2-AR拮抗剤の前投与により抗原投与により、冠血管収縮を反映する冠動脈抵抗の増加は抗原投与後2.5分にいずれの群でもピークとなったが、β2-AR拮抗剤投与群ではコントロールのアナフィラキシー群の約2倍の有意な増加を認めた。なお、β1-AR拮抗剤投与群でも有意差はないものの20-30%の増加を認めた。また、dP/dtmaxの低下もβ2-AR拮抗剤投与群が優位に大きく、次にβ1-AR拮抗剤投与群、コントロール群となった。以上より、ラット心アナフィラキシーではβ2-AR阻害がβ1-AR阻害より増悪作用が強いことが示唆され、アナフィラキシーショックに対するβ2-AR拮抗剤の致死的効果に心病変も関与することが示唆された。
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