2008 Fiscal Year Annual Research Report
神経ガス中毒治療における新規パム類似体の解毒作用に関する研究
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20592133
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Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
櫻田 宏一 National Research Institute of Police Science, 法科学第一部, 室長 (10334228)
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Keywords | オキシム / 2-PAM / コリンオキシダーゼ / チトクロームCオキシダーゼ / ミトコンドリア / 電子伝達系 |
Research Abstract |
2-PAMを含めたオキシム類は、抑制されたAChE活性を復活させるための解毒剤として知られているが、心毒性・呼吸麻痺など、それ自体の毒性のために臨床的な投与法が制限されている。しかしながら、未だその毒性機序の詳細については不明であることから、本研究ではミトコンドリア電子伝達系における影響の可能性として、コリンオキシダーゼ(ChOD)活性及びチトクトームCオキシダーゼ(CyCOD)活性に対する影響を調べた。その結果、2-PAM、Obidoxime及びdiacetylmonoximeは、その活性の強さに比例して精製したChOD活性を直接抑制することが確認された。そこで、ラット心ミトコンドリア分画におけるChOD活性に対する影響を調べたところ、より毒性の強い4-PAD(LD_<50>=4.3mg/kg)はその活性値をControl群に比べ約200%まで上昇させた。この結果は、オキシム類によりH_2O_2のような活性酸素種が大量に産生される可能性が推測される。また、ミトコンドリアCyCOD活性に対しても、ほぼ同様の影響が確認された。本研究により、オキシム類は、ミトコンドリア分画におけるオキシダーゼ酵素に対して、その活性を抑制させるだけでなく、過度の活性酸素種を産生させる可能性を推測させたことから、呼吸障害等の毒性原因の一つとして、ミトコンドリア電子伝達系に大きな影響を与えている可能性が示唆された。
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