2009 Fiscal Year Annual Research Report
神経ガス中毒治療における新規パム類似体の解毒作用に関する研究
Project/Area Number |
20592133
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
櫻田 宏一 National Research Institute of Police Science, 法科学第一部, 室長 (10334228)
|
Keywords | 神経ガス / オキシム / パム / 2-PAM / 4-PAO / BBB / LC-MS / MS |
Research Abstract |
神経ガス中毒治療の解毒剤として知られている2-PAMは、BBBをほとんど通過しないことから、これに替わる新たな解毒剤の開発を目的として、これまでに解毒活性を持つ数十種類のパム類似体を合成した。本年度は、その中でも抑制されたAChE活性の解毒効果が比較的高く、ブレインマイクロダイアリシス法によりBBBを約30%通過することをすでに確認している4-[(hydroxyimino)methyl]-1-octylpyridinium bromide (4-PAO)を中心とした数種類のパム類似体を用いて、その通過機序及びクリアランス機序を明らかにするための基礎的検討を行った。すなわち、生体サンプルからの4-PAOをはじめとした各種パム類似体の高感度定量法として、LC-MS/MSを用いた各種臓器からの検出法の確立を試みた。その結果、4-PAOにおける脳、肝臓、肺及び腎臓でのLODは、いずれも0.235μg cation/g wet weight、Caribration curveの定量範囲及び直線性は0.47-941μg cation/g wet weightだった。肝臓における100pM濃度での回収率は48.4±3.88%、Intra-day及びInter-day Precision RSDはそれぞれ14.4%及び16.8%、Accuracyはそれぞれ105%及び103%だった。そこで、10%LD_<50>ラット尾静脈投与後3時間での各種臓器(脳、肝臓、肺及び腎臓)における4-PAO濃度をそれぞれ測定したところ、7.60±1.32μg、26.8±2.82μg、76.4±24.9μg、638±266μgだった。同様に、他のパム類似体においても種々の検出条件を決定することができた。次に、オキシム類の毒性機序を明らかにすることを目的として、パム類似体投与後の房室伝導系に与える影響についての基礎的検討を行った。すなわち、2-PAM、4-PAO及び4-PAPEを中心としたパム類似体について、50μmol/kgをラット尾静脈よりそれぞれ投与し、循環動態計測システムを用いて、心拍数、心電図等を中心とした各種循環機能データの採取を行うことができた。
|