2010 Fiscal Year Annual Research Report
癌特異的エピゲノム異常を指標とした口腔癌抑制microRNAの網羅的探索
Project/Area Number |
20592136
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
小崎 健一 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 准教授 (50270715)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
稲澤 譲治 東京医科歯科大学, 難治疾患研究所, 教授 (30193551)
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Keywords | 口腔癌 / 扁平上皮癌 / microRNA / がん遺伝子 / がん抑制遺伝子 / エピゲノム異常 |
Research Abstract |
本研究では口腔癌の新たな診断・治療体系の構築に寄与すべく、癌特異的エピゲノム異常を指標とした癌抑制遺伝子型microRNA(miRNA)の網羅的探索と詳細な解析を強力に推進し、昨年度は、先行して進んだ肝細胞癌での解析において、5'側近傍500bp以内にCpGislandが存在する39種類のmiRNA(43 CpG island)の癌細胞におけるDNA過剰メチル化を指標とした検討と発現解析を組み合わせた絞り込みの結果、細胞株ならびに臨床検体においてDNA過剰メチル化と発現抑制が高頻度に一致するmiR-124とmiR-203を選出し、これらの癌抑制遺伝子としての抗腫瘍活性を機能的に確認するとともに、CDK6やIQGAP1などの直接的な標的分子を複数同定し、報告した(Carcinogenesis,31:766-776,2010)。今年度は、327種類のmiRNA配列を搭載したmiRNAライブラリー(Ambion社)を用いて、口腔扁平上皮癌(OSCC)細胞株でのin vitro細胞増殖抑制活性を指標とした機能的スクリーニングを行い、且つDNAメチル化解析ならびに発現解析を組み合わせた絞り込みによって、新規癌抑制遺伝子型miRNAとしてmiR-218とmiR-585を同定した。さらにmiR-218はRictorを標的分子とし、OSCCにおいてAktのSer-473リン酸化を抑制することによって細胞増殖を負に制御していることを明らかにした。本研究成果から、TOR-Aktシグナル経路を抑制するmiR-218が、口腔扁平上皮癌に対する核酸医薬としての新規治療法の開発や個別化医療の実現などに大きく貢献しうることが示唆された(投稿中)。
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