2009 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼を制御する高次脳の下行抑制性および興奮性神経機構の機能形態学的解明
Project/Area Number |
20592138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 篤 Osaka University, 大学院・歯学研究科, 教授 (90201855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 正之 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80303981)
小野 高裕 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (30204241)
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Keywords | 脳 / 神経 / 解剖 / 歯学 / 咀嚼 / 大脳皮質 / ラット / 神経トレーサー |
Research Abstract |
平成20年度の成果を受け、平成21年度は、三叉神経運動前ニューロン群に投射する大脳皮質の各特異的部位(r-Agl、r-Agm、r-Sl)と上行性ならびに下行性情報の伝達を中継する視床との神経連絡を解明した。 r-Agl、r-Agm、r-Slへの順行性トレーサーであるBDAまたは逆行性トレーサーであるFGの注入で、BDA標識された軸索終末が注入部位と同側優位に、FG標識された細胞体が同側性に背側視床に認められた。FG標識細胞体はBDA標識軸索終末の存在範囲内により限局し、密な標識軸索終末存在部位に、より多くの標識細胞体が存在した。特に多くの標識が、r-Aglへの注入では外側腹側核(VL)、内側腹側核(VM)、束傍核(Pf)、後核(Po)に、r-Agmへの注入では前腹側核(VA)、VL、VM、外側中心核(CL)、中心傍核(PC)、内側中心核(CM)、背内側核(MD)、Poに、r-Slへの注入では後内側腹側核(VPM)、Poに認められた。つまり、r-Aglとr-Agmは感覚視床よりも運動視床と強い連絡を持ち、髄板内核群との連絡も持った。これらは、r-Aglとr-Agmが大脳基底核や小脳核の影響を受ける事を示唆した。また、r-AgmはVA、MDとも強い連絡を持ち、r-Agmが大脳基底核のより強い影響を受け、また情動系や自律系の影響も受ける事を示した。一方、r-Slは運動視床よりも感覚視床と強い連絡を持つことを示した。 本研究により、3種類の運動前ニューロン群に下行性投射するr-Agm、r-Agl、r-Slが視床と異なる神経連絡を持つ事が明らかになった。これらの結果は、r-Agm、r-Agl、r-Slから運動前ニューロン群への下行性投射がそれぞれ異なる機能を有することを示唆した。このような機能の異なる複数の経路によって大脳皮質の制御を受ける事が、顎運動には必要と考えられた。
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Research Products
(3 results)