2010 Fiscal Year Annual Research Report
咀嚼を制御する高次脳の下行抑制性および興奮性神経機構の機能形態学的解明
Project/Area Number |
20592138
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
吉田 篤 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 教授 (90201855)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森谷 正之 森ノ宮医療大学, 保健医療学部, 教授 (80303981)
小野 高裕 大阪大学, 大学院・歯学研究科, 准教授 (30204241)
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Keywords | 脳 / 神経 / 解剖 / 歯学 / 咀嚼 / 大脳皮質 / ラット / 神経トレーサー |
Research Abstract |
20年度と21年度の研究によって、顎筋を支配する運動ニューロンが存在する三叉神経運動核の周囲に、運動核に直接投射する3種類の三叉神経運動前ニューロン群が存在し、その運動前ニューロン群に大脳皮質の3部位(外側無顆粒皮質吻側部[r-Agl]、内側無顆粒皮質最吻側部[r-Agm]、一次体性感覚野吻側部[r-Sl])が直接投射することが解った。そこで、3年計画の最終年にあたる今年は、これらの3部位からの下行路の顎運動における役割を解明する目的で、これら3部位を連続電気刺激(33Hz, 10または15秒間)し、誘発される顎運動を検討した。r-Aglの電気刺激では、ゆっくりとした開口が起き、その開口位で顎のリズミカルな上下運動が、刺激中継続して認められた。r-Agmの電気刺激では、ゆっくりとした開口が起き、刺激の8秒後に咬筋のリズミカルな大きな収縮が3ないし4秒間起きて、閉口した。r-Agmへの電気刺激では、刺激を強くしても顎運動を誘発する部位は認められなかった。本研究の結果は、r-Agl、r-Sl、r-Agmから異なる3種の運動前ニューロン群への下行性投射は、異なる顎運動パターンの形成に関与している事を示唆している。r-Agmからの投射は、顎運動の駆動よりもパターの修飾に関与すると考えられる。本研究で明らかになった機能の異なる複数の経路によって大脳皮質の制御を受ける事が、円滑な顎運動の遂行に必要であると考えられる。
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Research Products
(4 results)