2009 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺腫瘍の病理診断標準化のための組織学的ならびに分子生物学的研究
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20592141
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 郁子 Hiroshima University, 病院, 講師 (70136092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50314753)
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50169265)
北川 雅恵 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10403627)
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Keywords | 病理診断 / 唾液腺腫瘍 / 筋上皮マーカー / p63 / S100タンパク / 嚢胞腺腫 / 腺癌 |
Research Abstract |
20年度に引き続き臨床材料を主体に検討し、以下の結果を得た。 1. 筋上皮性マーカーとしては、p63,CK14が最も普遍性が高く、α-SMA,calponinは特異的であった。S100タンパクは、他のタンパクに比べて普遍性、特異性ともに低いが多形腺腫、筋上皮腫、上皮筋上皮癌のグループと基底細胞腺腫/腺癌、腺様嚢胞癌のグループとの鑑別に有用であった。 2. p63陽性細胞の存在と局在により、腺上皮細胞の導管内増殖、進展を明らかにすることができ、その所見から唾液腺終末部から発生する腺房細胞癌とより太い導管部分より発生することが推測される低悪性篩状嚢胞腺癌/嚢胞腺癌/嚢胞腺腫との鑑別が可能であった。 3. GCDFP15,androgen receptor(AR),HER2/neuは、唾液導管癌で高発現がみられることから鑑別に用いられているが、GCDFP15は腺房細胞癌、嚢胞腺癌でも陽性の症例があり、また、AR, Her2は腺癌,NOSにも発現を認め、高悪性であることとの関連が示唆された。 4. 腺様嚢胞癌ではNCAM,N-cadherinの発現は認められず、神経周囲浸潤への関与はないと考えられ 5. 悪性唾液腺腫瘍ではAurora B陽性細胞が高率に認められ、さらにKi-67と共発現する傾向があり、Aurora Bが増殖活性の上昇に関与していることが明らかとなった。一方、Aurora Aの発現は少数の悪性腫瘍で散在性に認められるのみであり、その意義は不明である。 6. 分泌型、膜結合型ムチンであるMUC1,MUC5AC,MUC5Bの腺房細胞癌での発現は不規則であり、組織型、細胞型との問に関連はなかった。
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Research Products
(6 results)