2010 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺腫瘍の病理診断標準化のための組織学的ならびに分子生物学的研究
Project/Area Number |
20592141
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
小川 郁子 広島大学, 病院, 講師 (70136092)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 隆 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (10154783)
工藤 保誠 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (50314753)
宮内 睦美 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (50169265)
北川 雅恵 広島大学, 病院, 助教 (10403627)
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Keywords | 病理診断 / 唾液腺腫瘍 / 筋上皮マーカー / 明細胞性腫瘍 / geminin / PLAG1 |
Research Abstract |
20,21年度に引き続き唾液腺腫瘍の臨床材料を中心に検討し,以下の結果を得た 1.腫瘍性筋上皮・基底細胞様細胞のマーカーとして,p63,CK14は広範に発現される普遍的なものであり,α-SMA,calponinは特異性の高いマーカーであることが明らかになるとともに「多形腺腫/筋上皮腫(癌)/上皮筋上皮癌」と「基底細胞腺腫(腺癌)/腺様嚢胞癌」とではS100タンパクの局在に明らかな差があり,生検組織での鑑別に有用であることが確認された. 2.富グリコーゲン性明細胞が出現する各種腫瘍型に対しては,腺上皮性マーカー(EMAなど)と前述の腫瘍性筋上皮・基底細胞マーカーを組み合わせることにより,鑑別可能であったが,粘表皮癌を代表とする扁平上皮への分化(化生)を伴う腫瘍型についてはp63発現の解釈に注意を要した. 3.嚢胞腺癌,低悪性篩状嚢胞腺癌,腺癌NOSでは,胞巣外層に異型に乏しい筋上皮・基底細胞を伴う領域が存在するものがあり,乳癌と同様に唾液腺腫瘍においても排泄導管からの発生が推測される腫瘍型では導管内進展が生じていることが明らかとなった. 4.ワルチン腫瘍から粘表皮癌が発生した症例を用い,p53の変異が生じていることが明らかとなった.また,腺様嚢胞癌ではRunx3の発現低下がみられ,メチル化について検討中である. 5.増殖活性マーカーとしてgemininを用い、Ki-67との比較を行った結果,両者の陽性細胞には相関性があるのに加えて,悪性腫瘍ではgeminin陽性細胞率の方がKi-67よりも悪性度との関連が強いことが明らかとなった. 6.多形腺腫と類似の組織像を呈する腫瘍型を用いて,PLAG1タンパクが鑑別のマーカーとして有用であるかを検討中である.
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Research Products
(12 results)