2008 Fiscal Year Annual Research Report
現生と化石哺乳類をつなぐ,エナメル質組織発生における比較解剖学的研究
Project/Area Number |
20592154
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
鈴木 久仁博 Nihon University, 松戸歯学部, 准教授 (30256903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山本 仁 日本大学, 松戸歯学部, 講師 (80265165)
太田 ルミ (横田 ルミ) 日本大学, 松戸歯学部, 助手 (30312044)
新美 寿英 日本大学, 松戸歯学部, 助手(専任扱) (70508754)
小澤 幸重 日本大学, 松戸歯学部, 教授 (80014132)
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Keywords | エナメル質 / エナメル小柱 / 立体構築 / 歯冠形成 / サイ類 / Subhyracodon / 有袋類 / オポッサム |
Research Abstract |
エナメル質の組織発生を直接に追跡する方法として臼歯の連続研磨標本を走査電顕で観察し、得られた画像を立体構築してエナメル小柱の動的な位置関係や形態の変化を捉える試みを行い、北米の化石サイSubhyracodonを試料とした研究成果は論文とし(Suzuki K, et al. Int J Oral-Med Sci,7,72-76,2008)、また、各種学会で発表し(158回日本古生物学会例会.2009/1、A Grant for Supporting Project for Strategic Research Meeting,2009/2.)特に古生物学の観点からの議論を深めることができた。今後、現生および化石の他種との比較を進めることにより、サイ類におけるエナメル質の系統発生的な考察が可能となろう。このような取組みは、哺乳類の進化における生態的変化と外部形態の変遷がどのように組織構造に反映されるのかを、エナメル小柱の運動から解明する新しい観点となるであろう。 一方、生物地理学的な観点からエナメル質の分化を捉えるために南米の化石哺乳類にも注目し,同様の手法を用いた研究の一部を公表した(第50回歯科基礎医学会学術大会、2008/9)。この試みは類縁的に離れた生物集団の間で類似性を持つ組織構造を発達させる場合、どのような仕組みがそこに存在するのかをエナメル質形成の観点から明らかにする契機となるであろう。 哺乳類のエナメル質形成を、基本的な生殖様式や歯の交換様式の異なる有袋類に遡って比較検討するために、オポッサムの歯冠形成過程を発生段階(産後12日〜25日)を追って観察した(第114回日本解剖学会総会、2009/3)。有袋類の歯の特徴を咬頭形成から明らかにし、歯胚の形態変化や口腔全体との関係を検討することにより、エナメル質の機能的側面についても発生的な解析が可能である。
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Research Products
(16 results)