Research Abstract |
口腔粘膜の難治性疾患である口腔粘膜扁平苔癬(OLP)の病態を明らかにし治療に結びつけることを目標に,以下のOLP関連タンパクの解析を行なった。 ヒトOLP病変の組織病理学的特徴であるCD4(Th1)細胞優位の細胞浸潤と樹状細胞(DC)の関係に注目し,各種DCのマーカーを用いて免疫組織化学を行ない以下の結果を得た。病変部上皮のLangerin陽性の未熟DC数は,非病変部に比べ減少していた,一方,Fascin/CCR7陽性の成熟DCは,上皮下のリンパ管周囲に,さらに腔内にも認め,リンパ節へ移行像を組織レベルで初めて明らかにした。さらに,病変部上皮は,phospholipaseA_2, COX_2およびPGE syntaseを過剰発現しており,上皮で産生されるPGE_2が,DCの成熟に関わることを示した。この結果は,病変へのTh1のリクルートに関わると考え,次年度,DCの成熟へのPGE_2の役割として,我々が開発したマウスモデルを用いてin vitroで解析を行なう。これにより,OLPの特徴であるCD4(Th1)細胞優位の病へ成立のメカニズムを明らかにできる。 ついで,診断マーカーの開発および治療を目指して,OLP関連タンパクの網羅的解析をおこなった。病変部上皮および上皮下に分けて,レーザーマイクロダイセクションにより組織を切除し,それぞれタンパクを抽出後プロテオーム(LC/MS/MS)解析を行なった。その結果,非病変組織と比較し,OLP上皮から110種,上皮下から120種のOLP関連タンパクを得た。OLP関連タンパクには,上皮の骨格タンパク群,熱ショックタンパク群を始め,細胞接着因子,増殖因子レセプターなど様々なタンパクが,また上皮下では一部のサイトカイン,ケモカイン,増殖因子,細胞分化カーカーなどが含まれていた。次年度おいてさらに,病変に特有なタンパクの絞り込みを行なう。
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