Research Abstract |
本年度は,ヒトOLP病巣の詳細な免疫組織化学による解析の結果を得て,病巣形成を調節していると考えられる樹状細胞が,病巣上皮の産生するPGE2により分化成熟がおこるとする我々の仮説を明らかにするために,頬粘膜DTHモデルマウスを用いて検討した。頬粘膜DTHモデルマウスの骨髄細胞を分離し,granulocyte macrophage colony-stimulating factor(GM-CSF)を添加して,未熟型の樹状細胞を誘導し,PGE2を添加あるいは非添加で培養して,樹状細胞の成熟を,CD207,CD11c,s-100,Fascin,Ia,CCR6およびCCR7などの抗体を用いて,FACS解析を行い,さらにreal time PCRによる遺伝子発現解析を通して樹状細胞の成熟に与える影響を検討した。その結果からPGE2は樹状細胞の成熟に関与し,かっ樹状細胞が局所リンパ節へ移動するのに必要なCCR7の発現を誘導することを明らかにした。この結果は,口腔扁平苔癬の発症メカニズムの一端を明らかにしたものと考えられた。また,これまでの免疫組織学的研究成果とあわせ,口腔扁平苔癬の診断の精度向上に役立つ可能性を示した。これらの成果は国内外の学会で,報告し評価をえた。本年度は新たに国内外の多施設と共同で口腔扁平苔癬の診断基準策定のワーキンググループを組織し,本研究成果を指標の一つに加えるべく,多症例の解析に着手した。今後はさらに口腔扁平苔癬における樹状細胞の認識する抗原解析へと展開を図る。
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