2008 Fiscal Year Annual Research Report
唾液腺の老齢化に伴い出現する蛋白質の同定と発現機序の解明
Project/Area Number |
20592159
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
菊池 憲一郎 The Nippon Dental University, 生命歯学部, 准教授 (80267260)
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Keywords | 顎下腺 / 舌下腺 / 老化 / 蛋白質 / 細胞・組織 / 発生・分化 / 歯学 |
Research Abstract |
平成20年度は、生後6、12ヶ月の舌下腺および顎下腺組織の材料採取を中心に行いました。分泌細胞の分泌物質の性状を組織化学的に検討する目的で、H-E染色、特に糖質検出のためのPAS(過ヨウ酸-シッフ反応)、アルシアンブルー(AB)染色を施しました。生後12ヶ月までの両唾液腺の染色性は、成熟期のものと比較して際だった変化はみられなかった。さらに、導管および腺房細胞に発現する蛋白質の局在を検討する目的で、各種抗体を用いた免疫組織化学的検索を行いました。 まず、コンゴーレッド染色により導管周囲および腺房細胞間、小葉間結合組織に沈着するアミロイド蛋白の確認を試みたところ、生後12ヶ月までの両唾液腺では老齢化指標であるアミロイド蛋白の沈着は認められませんでした。続いて、舌下腺および顎下腺に存在する粘液細胞、漿液細胞や導管に発現する蛋白質について、現在までに得られた顎下腺、舌下腺の標本を持参し、海外研究協力者であるArthur R. Hand教授と共に種々の抗体を用いて、老齢化に伴い出現する蛋白質の発現時期や部位について比較検討を行いました。舌下腺の粘液細胞はSMGD, Mucin19抗体、漿液性終末部(半月)はSMGB, PSP抗体に良好な反応を示しました。特にPSP抗体は、雄よりも雌で良好な免疫活性を呈し、 Mucin19抗体は加齢に伴い反応性の低下が認められました。また、顎下腺の漿液細胞はGRP抗体、顆粒管導管はEGF, NGF抗体、介在部導管はCSP1, SMGB, SMGD, SMGC抗体で良好な免疫活性を示しました。特にSMGCは加齢に伴い顆粒管、介在部導管で反応性が低下し、 SMGD抗体は逆に加齢に伴い介在部導管、漿液細胞で強い免疫活性を呈しました。今後は、これらの結果をもとに老齢化に伴い出現する蛋白質の発現時期や部位についての詳細な比較検討を行ってまいります。
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Research Products
(1 results)