2011 Fiscal Year Annual Research Report
超音波を用いた支台歯形成の試み・歯肉血管構築変化の形態学的観察
Project/Area Number |
20592160
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
松尾 雅斗 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (30190416)
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Keywords | 歯周組織 / 歯肉 / 微小循環 / 血管鋳型法 / 走査方電子顕微鏡 / 超音波 / エアタービン / 支台歯形成 |
Research Abstract |
【研究の意義】本研究において"歯周組織に優しい切削法"として超音波による支台歯形成を試みた。本法は従来の歯科用エアータービンなど回転切削器具による支台歯形成による歯肉組織に与える大きな損傷を防止するのが目的であり、その基礎的検討を行うために歯肉微小循環について観察を行った。 【方法】超音波切削に際し、形成する際に用いられるスーパーファインのタービンバーと同一径・密度の顆粒状ダイヤモンドが付着する超音波切削用ダイアモンドチップを用いた。超音波による切削を支台歯形成に用いることは、滑沢な歯面を生じることに加えて、歯肉組織へのダメージが少ない。従来のエアタービンで時として生じた歯肉の出血は辺縁歯肉部毛細血管の破壊と修復が行われ、その血管形態は大きく変化する。これは、歯冠修復時や歯肉の退縮や増殖を引き起こし歯周疾患などへと導く一つの原因となることが考えられる。本研究では超音波とエアタービンで歯肉に接して支台歯形成を行い、その血管構築の変化を観察した。 【実験の具体的内容】すべての実験は神奈川歯科大学動物倫理委員会による実験指針のもとに行った。全身麻酔下で、体重10Kg前後で歯周組織が臨床的に健康なビーグル犬を各群2頭ずつ用いた。実験群ではダイヤモンドチップ(Diamond tip-H)と超音波スケーラーを用いて歯肉縁に一致して支台歯形成を行った。対照群では仕上げ用のダイヤモンドバー(SF102R,松風Japan)と歯科用エアータービンを組みあわせて支台歯形成を行った。上記の術式、方法を用いて実験を行った。昨年度は歯肉組織とエアータービン、今年度は正常の歯肉組織と超音波による支台歯形成を行った。術後、0日、7日、30日後に血管内に注入し血管鋳型標本を作成した。その結果、超音波切削においては歯肉への直接的ダメージが生じないことから出血を可及的に抑えることが出来た。このことは支台歯形成後、歯肉組織の修復にかかる時間を可及的に短縮することができた。また、術後の血管構築および歯肉組織も正常と変わらない構造となっていた。本実験により超音波による切削は臨床的に有用な方法の一つで有ることが証明された。
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