2010 Fiscal Year Annual Research Report
活性酸素を介した唾液分泌障害機序の解析とSODの予防的効果の検討
Project/Area Number |
20592161
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
山田 浩之 鶴見大学, 歯学部, 講師 (90267542)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 一郎 鶴見大学, 歯学部, 教授 (60147634)
美島 健二 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (50275343)
井上 裕子 鶴見大学, 歯学部, 講師 (50367306)
|
Keywords | 活性酸素 / SOD |
Research Abstract |
平成21年度に得られたin vivoにおけるsuperoxide dismutase(SOD)の唾液腺局所における抗酸化作用を確認するために、ヒト唾液腺上皮細胞であるHSY細胞を用いて放射線照射と同様の酸化ストレス作用を示すUVB照射における活性酸素種に対する作用を蛍光プローブの酸化反応を指標に検討を行った。ヒト唾液腺腫瘍細胞HSYは、l0%FCS(Gibco)、1000U/ml penicillin(Gibco)を含むDMEM(SIGMA)で培養した。HSYに対するUVB照射は、Benchtop UV transilluminator, LM-20E(2UV)(フナコシ株式会社)の302nmの波長を使用した。UVBの照射線量は、UVMeter(Analog), J-221,365nmを用いて測定し、照射線量が60mJ/cm2,90mJ/cm2となるように時間を算出し、細胞への照射を行った。細胞内の活性酸素種の検出にはfluorescent indicator dichlorofluorescein(CM-H2DCFDA, Molecular probes, inc)とDihydroethidium(DHE, Fluka)を使用した。解析はFACS Vantage SE flow cytometerとcell Quest software(Becton Dickinson)を使用して行った。スーパーオキシドの指標となるDHEを用いてUVB照射20分後の細胞内のスーパーオキシドの生成量を解析したところ、UVBを照射したHSY細胞では平均蛍光強度(MFI, mean fluorescence intensity)は18まで増大し、レシチン化SODの添加によりMFIは10と低値を示し、スーパーオキシドの減少が認められた。このことからレシチン化SODはUVB照射時に細胞内で発生するスーパーオキシドを速やかに消去している可能性が示された。一方、過酸化水素、ヒドロキシラジカル、ペルオキシナイトライトなどのスーパーオキシド以外の活性酸素種を検出するCM-H2DCFDAを用いてUVB照射20分後の細胞内の活性酸素種の産生を解析した結果、UVB未照射のMFIが5.5を示したのに対し、UVB照射でのMFIは12であり、レシチン化SODの前処理ではMFIは10であったことからレシチン化SODはUVB照射によって発生したスーパーオキシドのみを消去し、過酸化水素などの他の活性酸素種に対し効果を発揮しない可能性が示唆された。
|