2010 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病関連細菌の表層蛋白質の糖鎖修飾と病原性との関連性
Project/Area Number |
20592165
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
村上 幸孝 朝日大学, 歯学部, 教授 (60239506)
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Keywords | 歯周病関連細菌 / 表層蛋白質 / 糖鎖修飾 / 病原性 / レクチン / Pgm6/7 / 細胞外マトリックス分子 / 共凝集 |
Research Abstract |
多くの蛋白質は翻訳後修飾を受けて多様化すると言われている。翻訳後修飾で最も多いのは糖鎖修飾で、その意義として、付着への関与、蛋白質分解からの保護、抗原の変異性の付与や免疫機能からの回避などが挙げられる。ところが、歯周病関連細菌においては、糖蛋白質はほとんど研究されていない。本研究では、歯周病関連細菌のうちPorphyromonas gingivalisの表層蛋白質の糖鎖修飾に注目し、病原性との関連性を明らかにしたいと考えている。 P. gingivalisの全菌体抽出液を調製し、種々のレクチンアフィニティーカラムを用いて糖蛋白質の分離を試みたところ、WGAカラムにより効率的に糖蛋白質が濃縮できることが分かった。質量分析により同定を行った結果、OmpA様蛋白質に属する主要外膜蛋白質Pgm6/7が主に含まれていた。 P. gingivalisの主要外膜蛋白質Pgm6/7の性質の一端を明らかにするために、親株およびOmpA変異株から、ヘテロ三量体のPgm6/7とホモ三量体のPgm6およびPgm7をWGAカラムを用いて分離・精製した。細胞外マトリックス分子との結合性を調べると、Pgm6/7はフィブロネクチンやラミニンに強く結合したが、Pgm6およびPgm7では結合能が顕著に低下していた。OmpA様蛋白質のヘテロ三量体構造が機能の発揮に重要であると考えられた。 また,P. gingivalisの菌体成分を二次元電気泳動によって展開し、糖鎖特異的染色を行った後、網羅的に糖修飾蛋白質スポットを解析した。その結果、主要外膜蛋白質Pgm6/7のほかに3種類の糖蛋白質が同定できた。これらの糖蛋白質の変異株を作製して、親株と比較したところ、自己凝集能、バイオフィルム形成能および酸化ストレス抵抗性が有意に低下していた。そのため、P. gingivalisの定着や生存に関与することが示唆された。
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