2009 Fiscal Year Annual Research Report
転写因子による歯根膜由来間葉系幹細胞の増殖・分化調節機構の解明
Project/Area Number |
20592169
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
石崎 明 Iwate Medical University, 歯学部, 教授 (20356439)
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Keywords | 再生医学 / 歯学 / 細胞・組織 |
Research Abstract |
歯根膜は、歯根と歯槽骨という2つの硬組織間に位置し、解剖学上靱帯に分類される線維性結合組織であり、歯の歯槽骨内への保持と咬合力、生理的な歯の移動、矯正的歯の移動などから生じる様々なメカニカルストレスを受けながらも周囲の基質を石灰化することなく、歯周組織の維持、再生に重要な役割を果たしている。また、歯根膜には咬合圧を知覚する神経組織や、歯根膜組織自体を維持するための栄養血管組織が存在し、これらの組織が協調的に働いて歯根膜の機能を維持している。 最近我々は、歯根膜由来線維芽細胞様細胞が血管内皮細胞マーカーを発現すること(Ibi et al.,2007)、さらに、線維芽細胞増殖因子(FGF)の刺激によりこの発現が増強することを明らかにして報告した(Shirai et al.,2009)。今回我々は、ラット歯根膜由来線維芽細胞様細胞がコラーゲンゲル中で血管様構造物を構築しうることを発見し報告した(大久保ら,2010)。一方、この細胞に神経細胞分化誘導培地を添加すると、神経細胞前駆細胞マーカーに加え、神経細胞マーカーの一部も発現誘導されることが明らかになり、この細胞の幹細胞様多分化能力の詳細が明らかになりつつあるところである。 以上のごとく、今年度は、ラット歯根膜由来線維芽細胞様細胞の血管形成性細胞分化と神経細胞様分化制御モデルを樹立した。今後、この分化制御モデルを利用して、歯根膜由来間葉系幹細胞の増殖・分化を制御する転写因子を同定すべく研究を進めたい。特に我々は、歯根膜由来線維芽細胞様細胞のsingle cell-derived culture(SCDC)を複数樹立することに成功しており、今後、これらのSCDC細胞を分化能力の高い細胞と低い細胞に分けた後、この細胞分化能力の差を決定づける転写因子を明らかにしたい。
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