2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
20592175
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西下 一久 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (20237697)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
筑波 隆幸 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30264055)
岡元 邦彰 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (10311846)
坂井 詠子 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (10176612)
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Keywords | 破骨細胞 / プロテアーゼ / カテプシンE / カテプシンD / ノックアウト / アポトーシス / ナプシン |
Research Abstract |
1.マウス由来骨髄細胞のin vitro破骨細胞分化に伴うカテプシンE発現の変動 破骨細胞分化に伴うカテプシンE発現の変動をウエスタンブロット法ならびにリアルタイムRT-PCR法にて観察したところ、RANKL添加による分化誘導の初期の段階で発現量が著しく低下することが明らかとなった。アスパラギン酸プロテアーゼ阻害剤ペプスタチンAによる破骨細胞分化抑制が初期段階で特に顕著であった結果は、カテプシンEを阻害することで生じたのではないかと考えられた。しかし、ペプスタチンA添加で観察されたRANKL下流のERKやNFATc1などの活性化の抑制はカテプシンE欠損マウス由来骨髄細胞では観察されなかった。 2.アスパラギン酸プロテアーゼナプシンの比較遺伝学的分析と生化学的解析 カテプシンE欠損とペプスタチンAによる破骨細胞分化抑制は別の分子メカニズムで生じ、破骨細胞において未同定のアスパラギン酸プロテアーゼが分化に重要な役割を担っている可能性が考えられた。ナプシンは哺乳類のアスパラギン酸プロテアーゼである。ヒトのナプシンにはA(NapA)およびB(NapB)があり、前者は420アミノ酸をコードするが、後者は偽遺伝子であるとされていた。NCBIの核酸データベース上にてナプシンのEST解析、SNP解析ならびにNapBオルソログ検索を行ったところヒトNapBの停止コドン相当位置にはTGC/Aの2種の対立遺伝子が存在し、霊長類NapBオルソログには停止コドンが存在していた。マウスにはナプシンAのみがあり、骨髄や脾臓など破骨細胞前駆細胞を含む臓器に分布していた。従ってナプシン遺伝子は進化の過程で重複が生じ、ヒトではNapBにおいて偽遺伝子化が進んでいると考えられた。NapA・NapBの全長を含むESTクローンより哺乳類細胞発現プラスミドを作成し、HEK293細胞に発現させ、既存のアスパラギン酸プロテアーゼ基質を用いて活性を計測したところNapAはペプシン、カテプシンD、カテプシンE及びBACEの基質を分解する幅広い活性を有することが明らかとなった。
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