2010 Fiscal Year Annual Research Report
骨代謝に対する組織レニン‐アンギオテンシン系の影響
Project/Area Number |
20592176
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
坂東 健二郎 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 助教 (50347093)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 教授 (10303629)
大西 智和 鹿児島大学, 医歯学総合研究科, 准教授 (30244247)
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Keywords | AT1 / AT2 / angiotensin II / ERK / PPARγ1 / Syk / 骨芽細胞 / メカニカルストレス |
Research Abstract |
すでに、骨芽細胞のメカニカルストレスの受容に、Angiotensin II type 1 (AT1)受容体が関わっている事を示唆する結果を得ていたので、培養骨芽細胞系MC3T3-E1に低出力超音波や伸展などのメカニカルストレスを負荷した。すると、数分でMitogen-activated protein kinase (MAPK)の1種であるExtracellular signal-regulated kinase (ERK)1/2のリン酸化が認められ、30分遅れてSpleen tyrosine kinase (Syk)のリン酸化が認められた。さらに、骨や軟骨、脂肪、筋などの分化マーカー遺伝子について検討したところ、メカニカルストレスにより脂肪細胞の分化マーカー遺伝子であるPeroxisome proliferator-activated receptor (PPAR)γ1の発現が抑制された。骨細胞へのメカニカルストレスは脂肪細胞への分化を抑制する作用がある事が示唆された。ここで、AT1のAntagonistであるCandesartanで前処理をしてメカニカルストレスを負荷したところ、ERKとSykのリン酸化は抑制され、PPARγ1の発現は抑制されなかった。次に、AT2のAntagonistであるPD123319で前処理して同様の実験を行ったところ、Candesartanと同様に、PPARγ1の発現は抑制されなかった。これらの結果は骨芽細胞のメカニカルストレスの受容にAT1ばかりでなく、AT2も関わっている事を示唆している。また、ERKの阻害剤であるU0126でも同様の結果が得られた。さらに面白い事に、骨芽細胞をAngiotensin II (AII)とメカニカルストレスで同時に刺激したところ、ERKとSyKのリン酸化は認められるものの、PPARγ1の発現に影響がなかった。AT2シグナルはERKを活性化しない事が知られていることから、AII、AT1、AT2、ERK、SyKの間には複雑なクロストークがある事が考えられる。今後、siRNAなどでAT1、AT2の発現を抑制するなど、より深い解析が必要であると考えられる。
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Research Products
(3 results)