2008 Fiscal Year Annual Research Report
催唾剤ピロカルピンによる口腔乾燥感誘発のメカニズム
Project/Area Number |
20592178
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
稲永 清敏 Kyushu Dental College, 歯学部, 教授 (90131903)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小野 堅太郎 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (40316154)
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Keywords | ピロカルピン / セビメリン / 唾液分泌 / 喉の渇き / 口腔乾燥 / ムスカリン受容体 / 口渇中枢 / 催唾剤 |
Research Abstract |
ピロカルピンは唾液分泌を促進し、口腔内を湿潤させる。最近、われわれはピロカルピンをラット腹腔内および脳室内に投与すると飲水行動が誘発されること、この行動は脳室内アトロピン前投与により消失することを明らかにした。われわれはさらにピロカルピンの腹腔内への投与により、前脳部位(脳室周囲器官、視床下部)および延髄(弧束核、最後野)でc-fbs発現細胞数が増加し、唾液核ではc-fbs発現細胞はほとんど観察されないという結果も得た。脳室内ピロカルピン投与でも、上記と同じ部位にc-fbs発現細胞数の増加を観察され、脳室内アトロピン前投与により腹腔内および脳室内ピロカルピン投与によるc-fbs発現細胞数は減弱された。これらのことは、ピロカルピンは直接唾液腺腺房細胞に働いて唾液分泌を促進させる一方、中枢のムスカリン受容体を刺激することにより口渇感を引き起こし、飲水行動を誘発することを示唆している。今回の実験では、もうひとつの催唾剤であるセビメリンでは、唾液分泌は促進するが、飲水行動はあまり誘発されず、口渇中枢に対する作用は少ないということがわかった。以上のことは、ピロカルピンおよびセビメリンはムスカリン受容体アゴニストであるが、その作用は異なることが示唆された。
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