2009 Fiscal Year Annual Research Report
NF-κB,p65のリン酸化の生理的および炎症反応における役割
Project/Area Number |
20592179
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
松尾 拡 Kyushu Dental College, 歯学部, 准教授 (70238971)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
福島 秀文 九州歯科大学, 歯学部, 助教 (70412624)
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Keywords | NF-κB / リン酸化 / 炎症反応 |
Research Abstract |
【目的】転写因子NF-κBのp65サブユニットの転写活性領域には幾つかのセリン残基が存在し、セリン残基のリン酸化がp65の転写活性に重要な役割を担っている可能性が報告されている。特に276番目(S276)および536番目(S536)のセリン残基の重要性が唱えられているが、これらのリン酸化の生理的役割について統一した見解は得られていない。また培養細胞を用いた実験では、発生過程や特異的な臓器・組織での役割が解明できないことが最大の欠点である。そこで2つのセリン残基をそれぞれアラニンに置換したノックインマウス(S276およびS536A)を作製し、各々のリン酸化の役割を検討する。 【方法】今年度はS536Aマウスの表現型を解析した。(1)マウスの成長、生殖能の検討(2)腫瘍臓器(胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、筋肉、骨、歯など)の組織学的検討(3)免疫系細胞(T細胞、B細胞)の分化マーカーの検討:胸腺細胞、脾細胞および骨髄細胞を調製し、T細胞およびB細胞の分化マーカーに対する抗体を用いてFACSで解析する。(4)各々のマウス由来の細胞をTNFαで刺激し、S536のリン酸化および、NF-kBシグナルを検討する。 【結果】(1)S536Aマウスは野生型マウスと比較して外見上大きな差は認められず、交配も可能であった。野生型マウスと比較して、S536A雄マウスで約10%の体重増加が認められた。(2)両マウス間で腫瘍臓器(胸腺、脾臓、腎臓、肝臓、筋肉)の構造上の大きな差はなかった。S536A雄マウスで筋肉組織間に脂肪の沈着が認められた。(3)胸腺のCD4/CD8、脾臓のCD4/CD8比に差は認められなかった。また骨髄細胞、脾細胞におけるB細胞の分化マーカー:B220/IgM,IgM/IgD,B220/CD23の比に大きな差は認められなかった。(4)胸腺細胞をTNFαで刺激し、S536のリン酸化を検討したところ、S536A由来の細胞でS536のリン酸化が抑制された。しかし、IκBαの分解は同様に認めれれた。 【結論】今のところS536のリン酸化の明確な役割についてははっきりしていない。筋組織で脂肪の沈着が認めれたことから、今後、脂質代謝への役割について検討する。
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