2008 Fiscal Year Annual Research Report
下顎・舌・口唇・頬の協調運動を制御する神経機構の解析
Project/Area Number |
20592186
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
井上 富雄 Showa University, 歯学部, 教授 (70184760)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 希世美 昭和大学, 歯学部, 助教 (00433798)
望月 文子 昭和大学, 歯学部, 助教 (10453648)
中村 史朗 昭和大学, 歯学部, 助教 (60384187)
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Keywords | 三叉神経 / 協調機構 / 咀嚼 / 舌運動 / 顔面運動 |
Research Abstract |
口腔の感覚情報による咀嚼運動の調節機構を調べる目的で、幼弱ラットの水平断脳幹スライス標本を用いて、顔面神経核背側の網様体(RdVII)から閉口筋運動ニュー1コン(MMN)あるいは開口筋運動ニューロン(DMN)へのシナプス入力の特性を検討した。実験には生後0-12日齢(PO-12)のWistar系ラット49匹の水平断スライス標本を用いて行った。RdVII電気刺激に対するMoVの応答は、膜電位感受性色素を用いた光学的膜電位測定法および、ホールセルパッチクランプ法によるMMNあるいはDMNからのシナプス後電流(PSC)記録で観察した。MMNおよびDMNの同定は、咬筋あるいは顎二腹筋に注入したローダミンの逆行性標識によって行った。RdVIIの電気刺激でPO-6ラットのMoVに光学的応答が誘発された。MoVの光学的応答は、グルタミン酸受容体拮抗薬のCNQX、グリシン受容体拮抗薬のストリキニンおよびGABA受容体拮抗薬のビククリンの投与で滅弱した。次に、P2-4ラットの13個のMMNからパッチクランプ記録を行ったところ、RdVII電気刺激に対してすべてのMMNにPSCが誘発された。このPSCはCNQXとAPV投与で57,8±11.1%減少し(n=7)、CNQXとAPVに非感受性のPSCはストリキニンとGABA受容体拮抗薬のSR95531投与で消失した(n=6)。同様の受容体拮抗薬の効果は、P8-11のラットのMMNでもP2-4ラットと同様に認められた。一方DMNでは、RdVIIの電気刺激でPSCが誘発されるのは16個中3個のみで、PSC誘発の割合はMMNに比べて有意に少なかった。以上の結果から、RdVIIには主としてMMNにグルタミン酸1生、GABA性およびグリシン性のシナプス入力を送るプレモーターニューロンが存在し、咀嚼時の閉口筋活動調節に関与していることが示唆された。
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Research Products
(5 results)