2010 Fiscal Year Annual Research Report
大脳皮質による複合的な咀嚼運動制御に関わる皮質-皮質間連絡の解明
Project/Area Number |
20592191
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
増田 裕次 松本歯科大学, 大学院・歯学独立研究科, 教授 (20190366)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 篤 大阪大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (90201855)
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Keywords | 大脳皮質 / 顎運動 / 咀嚼 / 神経連絡 / 皮質刺激 / モルモット |
Research Abstract |
咀嚼運動中のリズミカルな顎運動は脳幹部に存在する神経ネットワークであるパターンジェネレータにより形成されることや、咀嚼は中脳より高次の脳を切断した除脳動物においても起こることから、高次中枢が咀嚼運動発現に不可欠な領域ではないと言われている。しかし、ヒトにおける非侵襲的な脳活動の記録から、高次中枢である大脳皮質、大脳基底核や扁桃体などの広い領野が咀嚼中に活動していることが示され、高次中枢の役割が論じられているが、未だ不明である。本研究では高次中枢のうち、大脳皮質の一部の領域である大脳皮質咀嚼野からの神経連絡の役割を調べることで、咀嚼運動制御における大脳皮質の意義を知ることを目的とする。 モルモットの大脳皮質への連続刺激によりリズミカルな臼磨様顎運動が誘発され、Short train刺激により顎顔面に単収縮を誘発する領域よりも、尾外側に位置していた。そこで、この2領域の神経連絡を順行性トレーサーであるBDAあるいは逆行性トレーサーであるFluorogoldを用いて検索すると、臼磨様顎運動を誘発する領域から単収縮を誘発する領域への投射が存在し、この連絡は一方向性であることがわかった。この神経連絡は、臼磨様顎運動誘発部位への電気刺激に対する皮質内興奮伝播を、膜電位感受性色素を用いた光学的な計測によっても確認することができた。さらに、単収縮を誘発する領域にMuscimolを注入して不活化すると、外側部の臼磨様顎運動を誘発する領域への刺激効果は弱められることがわかった。このように、臼磨運動の誘発に単収縮を誘発する領域も関与することが示唆された。さらに、100Hz,、0.5秒のLong train刺激にて下顎を一定の位置に誘導することが出来る領域が、単収縮を誘発する領域とオーバーラップして認められ、機能的に意味のある働きのあることが示唆された。
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Research Products
(11 results)